幼少の頃の加藤家はいわゆる兼業農家だった。祖父母が田畑を耕し、米はもちろん野菜や果物に至るまで青果類は全て自給自足の生活だった。漬物や乾物も作っていた。庭には、柿・いちじく・ざくろ・栗・夏みかんの木があった。敷地内の竹やぶでは竹の子も出た。ニワトリ小屋もあり産みたてのタマゴも…。
今思えば、究極の贅沢!こだわりの自然食品生活だ!

草食の加藤家が年に一度肉食に変わるのは大晦日の大イベント『すき焼き』だった。母はここぞとばかり豪勢な霜降り牛肉を仕入れてきたものだ。

母が逝ってからはもっぱら外食での食事会をするようになったが、年末=牛肉の図式は変わらない。今年は姉の提案でステーキを食べることになった。今年は大晦日には都合で姉弟が集合できないため、一日早く今日30日に食事会をした。

名古屋市内のとある『隠れ家』的なステーキ屋さん。萱葺き屋根の門をくぐって純和風造りの建物に入った。日本庭園には錦鯉が泳ぎ、先日の残り雪に風情を感じた。13の個室には全て鉄板が置かれ、シェフが目の前で調理してくれる。13の部屋とは別に総檜風呂を備えた特別室があるらしい。湯上りに浴衣で鉄板料理をいただける部屋もあるとか。

部屋に案内されると、すぐに野菜が運ばれてきてシェフによる調理が始まった。玉ねぎ・ピーマン・サツマイモ・ジャガイモ・かぼちゃャ・ニンジン・ネギ・コンニャクetc...。
そして主役の宮崎牛肉登場!今年一年の辛かったことや苦しかったことも全て和牛の甘味と共に口のなかで溶けて飲み込んでなくなってしまうような、そんな気分を味わった。

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…ひょっとして母が年に一度の霜降り牛肉にこだわったのにはそんな意味があったのか?!と、ほんの少しだけ感傷に浸ったが、それよりなにより今目の前にある幸せを実感した。