もちろん仕事ではあるが、それ以上に最近特に興味を持っているマフラーの話。3rdレンジローバーのマフラー製作に取り組む過程で、これぞ職人技!と感動する作品に出会った。

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目の前に出されれば、『ああ、デフューザーね!』と、簡単に片付けられてしまうパーツだ。しかし、これを作り上げる工程を想像してみると謎だらけになってくる。これは径の違う2種類のパイプから成り立っている。1枚目の写真を見ていただくと分かるが、径の大きいほうのパイプの端の数センチを円錐状に縮めて小さいほうの径に合わせる。垂直断面の真円同士。もちろんこれはプレスという機械を使うことで容易(?)にできる。
さて、2枚目の写真を見ていただこう。つまり、こちら側がマフラーの出口になるのだが、外側のパイプは斜めにカットされている。この断面は楕円ではなくいわゆるタマゴ型になっている。内側のパイプをこのタマゴ型の輪郭部分にピタリ合うように広げるわけだ。これが簡単そうでかなりの工夫と技術とが要るのだ。ラッパ状に均等に広げるのであればプレスを使ってパイプに対して円錐状のコーンを当てて押し広げてやればいい。しかし、今回は均等ではなく斜めカットのタマゴ型!例えば、内側のパイプもあらかじめ斜めにカットするとして、広がる部分のtθ(タンジェント・シータ)分を見越して長めにカットしておかなければならない。しかも、合わせる相手はタマゴ型。
ここまでくると文章では表現しにくいし、せっかく想像してもらっている読者の方は何がなんだか分からないことになっていると思う…。とにかく、この2本のパイプを結合させる技術は想像以上に難しいのだ!
マフラーを作る過程で、『出口はこんなのにする?』『いいねえ!これにしよう!』なんて安易な会話になりがちだが、これを作る難しさを理解すると『これを使ってマフラーを作るとコストはどのぐらいハネ上がる?』なんて話に展開していく。

おそらく、最近のハイテク工作機械を使えばなんてことない作業なのかもしれないが、マフラー工房にある機械といえば、旋盤やプレス、グラインダーといった一般的な汎用設備のみ。あとは手作業でヤスリを当てて削っていくという。
今回、職人は『プレスを使ってタマゴ型に広げるための工具』を見せてくれたが、さすがにこれは職人の意気込みを尊重し、企業秘密とさせていただこうと思った。私は写真撮影すら行わず、記憶に留めるまでとした。職人曰く寝ずに考えたとのこと。それを聞いた私は感動で眠れなくなるほどだ!