52a131e9.JPG私が右も左も分からないメカニック1年生の時の話。水温計がオーバーヒート状態まで振り切ってしまったお客さまから修理依頼の電話が入った。工場長が工具箱から数本のハンドツールを取り出して『おーい!オーバーヒートのクルマを引き取りに行くから付き合ってくれ〜!』と言った。私は工場長を乗せてお客さまの元へクルマを走らせた。ただひとつの心配はオーバーヒートしたクルマをどうやって修理工場まで持ってくるのだろうということだった。
現場に着くや早速ボンネットを開けた工場長は、ポケットから取り出したメガネレンチを使ってエンジンの補機類の一部を分解し、何やら地球ゴマ(←死後?)のようなものを取り出した。そして再び組み付けてところでニヤッと笑った。『オッケー!じゃあ、オレはこっちのクルマに乗って行くからな!』と、言いながらエンジンを掛け、何事もなかったように修理工場に向けて走り出した。
つまり、その地球ゴマはサーモスタットだったのだ。サーモスタットが壊れたせいでラジエターに冷却水が回らなくなった典型的なオーバーヒートの症状であると見立て、現場で応急的にサーモスタットを取り外してラジエターに冷却水を循環させてやったのだ。

さて、写真はディスカバリー・シリーズ兇離機璽皀好織奪函8渓にはサーモスタットが収まっているキャニスターという単位。ウォーターホースの回路間に簡単に接続できるように形成されたキャニスター内にあらかじめサーモスタットが組み込まれた部品単位になっている。非分解式ではあるが、この中にも昔ながらの地球ゴマの形をしたサーモスタットが収まっているのだ。2ndレンジローバーも同様な形状であり、最近のクルマの主流でもある。

これではさすがの工場長でも現場で応急的にサーモスタットだけを取り除くことはできなかっただろう…。