完全に持病になってしまった腰痛の話題をしよう。読者の方にもなんらかの参考になってもうえれば幸いだ。

さかのぼること22年!人生で初めてのギックリ腰はナント20才の時だった。飲食店でバイトをしていた時のこと。狭いカウンターの中で生ビールの金属製の樽の入れ替えを行った。サーバーから空になった樽を取り出して、今度は満タンの樽を組み込みこもうと力を入れた瞬間に背中で軽く何かがパンッと弾ける感じがした。強烈な痛みが走ったわけではなく、なんだか張った感じがしていただけなのでその日は頑張って仕事を続けた。帰りにクルマに乗り込む頃には更に違和感が大きくなり、数十分運転して家に着くころには痛みに変わっていた。
あくる日になると自分の力では何もできないほど不自由な体になっていた。布団から起き上がるにも、あれこれ体勢を整えながらなんとか激痛が走らない工夫をして何分も掛けて起き上がった。
少人数でローテーションしていたバイトだったので休みを取るのは難しい状態ではあったが、こんな状態ではとても出勤することはできなかった。とにかく仕事は休んだが、二日後にひかえたサークルの海水浴イベントまでにはなんとか治したかった。
母に相談したところ、親戚が世話になったことのあるという針灸院を勧めてくれた。とはいっても自分ではクルマの運転はできず、結局母に乗せていってもらった。そのころは症状も最悪の状態に陥っており、治療院に到着してからもゆっくりゆっくり姿勢を変えながらクルマを降り、診察台までおよそ20〜30分掛かったと思う。
早速、針治療が始まった。治療はうつぶせで行われているので何が行われているのかは分からないが、かすかにチクチクする感覚がある。音や、先生の行動からしておそらく何十本もの針がツボに刺されているように感じる。長い針がゆらゆら揺れているようにも感じたが実際はどうだか定かではない。どれほどの時間が経ったか、時の感覚もなくなっていた。感覚こそ鈍いが、体に針が刺さっているという緊張感も続いている。しばらくして、全ての針が一気に抜かれた。ようやく針地獄から解放された。
それからは灸を据えられた。小さく千切られて指先で丸められたもぐさが背中のあちこちに置かれた感じがした。先生から『熱くなったら教えてよ!』と言われ、そして次々に線香で火を点けられた。しばらくすると当然皮膚まで火が届く。『アチチチチチッ!』と声を上げると先生が指で押さえて火を消してくれる。しかし、時にはまだ皮膚には届いていない隣の灸を押さえられ『そこじゃない!違うとこ!チガウトコ〜!チチッチイチチチ…!』となるが、後から思えば先生に遊ばれていたのかもしれない。何度もそんなことを繰り返し、ようやく熱地獄からも解放された。それから軽くマッサージもしてくれたと思う。
『じゃあ、起き上がって座ってみて!』と、『そんなことできるわけないじゃないですか?!』といいながら診察台の上で恐る恐る体を回転させ、当然腕の力を駆りながらゆっくり腰掛けるように起き上がってみた。あれ?起き上がれた!もう一度寝転がって、今度はさっきより腕の力に頼らずに上体を起こしてみた。あれ?できた!魔法にでもかけられたようで本当に不思議だが、痛みも消えていた。
『若いからきっとこれ一回で治るよ!』と、自慢げな先生の声が印象的だった。
明くる日も念のためにハードな動きをひかえたが、それでも全く普通の生活に戻れていた。そして無事に海水浴も楽しめた!

これが私の針治療の初体験。その後、幸いギックリ腰からは縁がなかったが30才半ば過ぎで久しぶりにギックリに襲われた。以前ほどひどくはないが、パンッ!という嫌な感覚があったので早めに対処しようと思った。当時の針灸院は既になくなっていたので、タウンページで最寄の針灸院を探して駆け込んだ。その昔、『若いから一回で…』と言われた記憶を信じるなら、きっと既に数回は通わないと治らない年齢になっている。もちろんそれも覚悟していた。
駆け込んだ針灸院では、一本の針を順番に刺していく方法だった。そして念入りにマッサージしてくれた。しかし、約一時間の治療が終わっても劇的に変化はない。『明日になれば楽になってますから!』と言われ、その言葉を信じて翌日を迎えた。実際に楽になっていた。ほとんど痛みを感じずに過ごせるように回復していた。
それから現在まで、念に何回かはその針灸院のお世話になっていた。マッサージだけをお願いすることもある。

さて、今日はギックリ腰ではないが、おそらく疲労からきているであろう嫌な痛みを感じながら一日を過ごした。ちょっと前に、知人の掛かりつけのマッサージ士の話を聞いていた。それを思い出してインターネットで検索したところ、針治療がメーンの治療院のようだ。さっそく仕事が終わる時間に合わせて予約をし、針を打ってもらってきた。

うつぶせで治療の様子は見えないが、その分しっかり質問をし、解説をしてもらいながら治療を進めてもらった。先生は腰を指で押さえて患部であろうあたりを見事に見つけ、そこを中心に針を打っていく。針の太さは0.2ミリ、それを約3〜4センチの深さまで打ち込んでいく。時々、ズキンと痛みにも似た感じがあった。そんなときはコッチが痛いと言うと同時に、『あ、固いね!』と気がつくようなのだ。指先に感覚が伝わるらしい。今日は10本が打ち込まれた。
そのうちの二箇所に電極が取り付けられ、徐々に電圧を上げていく。小学校の時の蛙の筋肉に電圧をかけてピクピク動く実験のように、背中の筋肉がピクピク反応している。その状態で約10分。針が刺さったままという緊張感が遠い記憶から甦った。思わず肩に力が入っていた。どうやら、この電気針治療がお灸の役目を果たしているようだ。時間が来て全ての針が抜かれた。
それから背中から腰にかけて指圧で揉んでもらった。『今夜は逆に痛みがでるかもしれないけど、ひどくなったら市販の痛み止めでも飲んでおいて!明日には楽になってるはずだから!』と。同じ針でもそれぞれ治療の方法も違えば効果の反映のしかたも違うようだ。しかし、過去の先生のおっしゃることはほとんど当たっている。明日になって楽になっていることを信じよう!

腰以外でもムチ打ちでの首痛やその他の間接痛にも同様の針治療が効果的とのこと。今日は読者のみなさんの参考になればと思い、私の腰痛針治療の実態を紹介させていただいた