今日、あるお客さまのお宅にお邪魔したときのこと。私の左手首を見て『加藤さんも腕時計好きですよね?ボクも好きなんですよ!エマージェンシーって知ってますか?』と。そして立ち上がり部屋を出ると、小振りのアタッシュケースのような箱を三つ抱えて戻ってきた。明らかに腕時計の収納ケース!しかも、ケースの趣きからしてタダモノではなさそう。ケースのうちのふたつは、16本の腕時計が収まるようになったコレクションケース。もうひとつは明らかにある1本の時計のための専用ケース。そして、そのケースの中から出てきたのが「ブライトリング・エマージェンシー」だった。

449b03a9.JPGエマージェンシーとは、国際航空遭難信号発信機を装備するクォーツ・クロノグラフだ。国際航空遭難信号?サンダーバードの世界か?あるいは007か?まさに、そんな役割を担った腕時計なのだ。遭難時に右下の大きなリューズを回してアンテナを伸ばせば直ちに緊急信号(SOS)が発せられる。そのための電源が必要なのでエマージェンシーはクォーツだ。内臓電池によって約48時間発信し続けられる。その特定の周波数帯の電波は衛星を経由し、日本周辺なら海上保安庁や各管区、航空機事故の可能性もあればさらに羽田空港内の救難基地にまで届くという!その電波を元に救助活動が展開されるという画期的なシステムなのだ。
そんな大それたシステム故に誤信号を発せられては困る。そこで、日本国内の正規ブライトリング販売店では条件付で販売されている。その条件とは、パイロットと無線の両方のライセンスを持っていること。さらに、購入後は年に1回メーカーによる電波法に基づく点検が義務付けられているというほど厳重な体制なのだ。

そのほか2つのケースも順番に見せていただいたが、ひとつはブライトリングBOX、そしてもうひとつはオメガBOXだった。そのいくつかを取り出して左手にはめさせていただいた。重量があって存在感を主張しているもの、軽いチタン製で手首に吸い付くようにフィットするもの、機能美そのものを証明するかの如く細かな造形が施されているもの。とてもどれかひとつには絞り込めないほど全ての時計が魅力的だった。『時々、お酒を飲みながら順番に取り出して磨いてやるんですよ!』というお客さまの気持ちがよく分かった気がした。

今、私が着けている時計はオメガのスピードマスター・オートマティック(自動巻き)。シンプルなスタイルとちょうどいい重さが好きで、数個に渡り同じ型の色違いを繰り返し、今年で13年目になる。しかし、定期的なオーバーホールをさぼると時間が遅れ始めるのが悩みのタネ。仕事をしているとほんの数分の時間の遅れが時に失敗を招くときがある。手巻きや自動巻きといった機械式にどこかでこだわっているのは事実。しかし、ある時期を見計らって次はクォーツにしようかと考えながら既に何年も経っている。オメガを見切るときは、次はブライトリングのクォーツか?!などと時々考えたりしていた矢先の今日の出来事!お客さまのコレクションは特に機械式にこだわった感じでもなく、エマージェンシーを含めていくつかのクォーツもあった。機械式にこだわるべきか、機能重視でクォーツにすべきか?今日でそんな迷いは完全に吹っ飛んだ!