月曜日に、ある3rdレンジローバーにお乗りのお客さまが来店された。『数日前から走行中に気になる音がする』とのこと。
早速、点検開始。まずは音を再現させることから始まる。音が出るときは、このまま走っていて大丈夫なのか?!と心配になるほどらしい。しかし、その日はレイブリックへ向う約30分の走行中に一度出ただけという低い頻度の音だ。
私が運転し、お客さまには助手席に乗っていただいて試運転に出かけた。試運転をしながらお客さまから音が出たときの条件などをお伺いし、それを整理することで再現のための条件を整えていく。
冷間始動時からしばらくすると音は出る。そして、完全暖機後には出にくい。登り坂など、負荷が掛かったときだけ出る。カーブしながら?あるいは、カーブの後に出る、などなど。試運転の途中、僅かに音が確認できた。しかし、既に完全暖機は終わっており、結局このまま試運転を続けても再現性は低いと判断。お車をお預かりし、翌日の冷間時から再び試運転を繰り返すことにした。

それから数日間、メカニックが代わる代わる試運転を繰り返し、かなり高い確立で再現できる条件を絞り込んでいった。音の種類はどこかで金属同士が擦れあうようなもの。『シャカシャカシャカ』『シャッシャッシャッ』『キッキッキッキッ』、音の種類と音量はその時々で変化する。しかし、その周期はタイヤ1回転あたり4〜5回。つまり、デファレンシャルで減速される前の周期で回転している部分が音源であることが推測された。オートマティックのアウトプットからトランスファー、そしてプロペラシャフト、さらにデファレンシャルのインプットがその周波数に当たる。
速度・負荷・暖機状態、これらの条件を揃えることで確実に音は再現された。それでも、冷間時にしか出ないことは確かなので、朝・昼・夕の3回ぐらいしか点検のチャンスはない。負荷がかかることが条件なので、左足でブレーキを踏みながらできるだけ長い時間音を出し続け音源を絞り込んでいった。
ついに、フロント・プロペラシャフト周辺が音源であることが分かってきた。そして、更にその前よりのようだ。そこには、フロントアクスルが上下したときにプロペラシャフトの長さを変えられるようにするためのスプライン勘合部がある。ここのガタか?しかし、手で揺らしてみてもガタは確認できない。そうはいってもやはりこのあたりが怪しい。そこで、フロント・プロペラシャフトを取り外し、スプライン部を目視点検することにした。

25355666.JPG写真はプロペラシャフトの後ろ半分をスプラインから抜き取ったところ。ごらんのようにグリスが切れて錆が出ていた。ビンゴか?!これではスプライン部は全く潤滑されておらず、プロペラシャフトの長さ変化の時に金属同士の当たり音がしても不思議ではない。
このスプラインの錆を削り落として清掃、モリブデン系のグリスをしっかり塗布して組み付けた。まださっきの走行後の温もりが残っており、冷間時としての点検が出来ないまま夜になってしまった。それでも、試運転をして意図的に音を出してみた。音は出ない!やはりココが原因だったのだろうか?!明日、もう一度冷間時から試運転をして確認してみよう!どうか、音が消えていますように!!!
(08.04.03)最終、二日ほど試運転を繰り返し、結果は良好!ユーザーさんにお返しし、数日後に電話をして様子をお伺いした。『大丈夫ですよ!あれからは絶好調です!』と嬉しいご返事を聞いて一安心。