1b151074.JPG私がまだ国産車の整備に従事していた頃、例えばエンジンを降ろす作業などの時にはボンネットを取り外す作業から始めた。ボンネットというものは、閉めるときに普通に前端部分に手が届く場所にあるもの。従って開く角度は45度ぐらいだろうか。エンジンを降ろす場合は、クレーンで吊り上げる。その場合にボンネットが邪魔になるので、あらかじめ取り外しておくのだ。
ある日、メルセデスベンツを扱うサービス工場へ行ったとき、異様な光景が飛び込んできた。ボンネットを直立に立てたメルセデスがピットにずらりと並んでいるのだ。「え?あんな高さまで開くの?」と驚いた。普通に開ければ途中で止まるのだが、整備用にもう一段階開けられるようになっていることを知った。ボンネットを取り外さなくてもエンジン脱着の作業が行えるなんてよく考えられていると関心すると共に、それほどまでに重整備の頻度の高いクルマなのか?と心配にもなった。
もっとも、ボンネットが直立状態まで開くことが前提のクルマ設計なので、なにもエンジンを降ろすことばかりを考えているのではないのだが。例えば、バッテリーの位置だ。バッテリーがエンジンルームの一番奥にあっても、直立ボンネットなら整備に邪魔になることもない。その頃の国産車では、バッテリーはエンジンルームの前端にあるのが当たりまえ。ボンネットを開ければもっとも手の届き易い位置にある。整備や交換も容易な位置だ。しかし、重いバッテリーを車軸よりも前に置くことで運動性能は犠牲になる。欧州車ではバッテリーなどの重いパーツは、できるだけ前後の車軸間に配置されることが考えられていた。

92年に輸入車の整備をするようになって、アウディでバッテリーがリヤシートの下にあるのを経験した。BMWなども同様で、欧州車では珍しいことではない。
前後のオーバーハングに重量物があることのデメリットを肌で感じたのもちょうどその頃のこと。当時、私は国産車のライトウェイトスポーツカーに乗っていた。エアコンが壊れたので、潔くエアコンを取り外してしまうことにした。コンプレッサー・コンデンサー・アイドラプーリーやその他配管類、エンジンルームに存在する構成パーツを全て取っ払ったのだが、それらのパーツ(特にコンプレッサー)の重いこと重いこと。これで、グランツーリスモ的には「軽量化ステージ1」だ!笑
実際、クルマを走らせて驚いた。回頭性が格段に向上!コーナーで面白いほどノーズがインに向かっていく。軽量化の威力に感動した私は、リヤシートやカーペットなどの内装パーツを全て取り外してしまった始末。いや〜、それにしても夏は辛かった…。

3rdレンジローバーはランドローバーがBMW傘下にいる頃に設計されたクルマ。重いバッテリーをバルクヘッド内に収めることと直立ボンネットは当然の発想なのだろう。