春先に勃発した暫定税率問題や、原油の高騰。燃費が決してよくない、いや、はっきり言えば燃費が悪いランドローバー車のみを取り扱うレイブリックにとっては、まさに我慢の年だった。
我慢といっても、それは逆に今まで以上の努力を伴なうのは必然。景気後退の波が通り過ぎるのをじっと耐えるのではなく、従来の仕事量を確保するためにこれまで以上の労力を惜しまないこと。そんなことを毎日自分に、あるいはスタッフに言い聞かせるように過ごしてきた日々ともいえる。

7月のある日、スタッフ全員を集めてミーティングを行った。ミーティングといっても、ほとんどは私が喋った。演説のテーマは「品質向上」。今、レイブリックに必要なことは、商品、店舗、スタッフ、それらの全てのクォリティーを向上させることが必要であると感じていた。もっとも大変なのは「スタッフ」だと思っていた。そして、それは現在でも感じている。私を含め、スタッフひとりひとりの意識改革と、技術や能力の向上、これは半年経った現在でもまったく不満足な成長レベルだ。
逆にいえば、「店舗」といった物質的なモノの品質向上が一番取り掛かりやすい。もちろん、コストを意識する必要はあるが、最終的には経費を使えばなんとでもなる。
とにかく、なにもかもの品質を上げることで、お客さまにそり満足していただけるわけで、それが信頼関係につながり、お店も繁盛する!そう信じて進むことにした。

a42bc65e散らかったピットを片付けたい。そんな意識を強烈に持つようになったきっかけは他にもあった。私が商談コーナーのソファーでお客さまと話していると、私の知人が来店されたのが見えた。ガラス張りの商談コーナーの外はピット。知人はピットまで入ってきたところで、私が中でお客さまと話していることをガラス越しに確認した。そして、ガラス扉を開けて中に入ってくるのを遠慮し、しばらくピット内をウロウロしていた。
私は、中でお客さまと話をしながら「ああ、散らかったピットをあちこち見られて恥ずかしい・・・。そんなにじっと見ないでよ」。そんな風に感じていた。
私がお相手させていただいていたお客さまが帰られ、見送りを済ませてピットに戻ると、知人はスナップオンのツールキャビネットの上をじっと見ていた。整理整頓しきれない細かなパーツや消耗品類が、適当な小箱や缶に詰められてそれらがキャビネットの天板を占領していた。本来は、作業台にもできるような丈夫な天板が完全に物置き状態になっていた。とても見栄えが悪い状態だった。

知人が帰られてから、あらためてツールキャビネットの上とピット周辺を見渡した。そして、強烈に感じたことは「このままではいけない!」という簡単なことだった。お客さまに見られたくないほど散らかった空間では、クォリティーの高い作業ができるはずがない。仮に我々はちゃんとこなしているつもりでも、お客さまに「たしかな仕事」として伝わることはない。お客さまが「ここで自分のランドローバーを診てもらえるなら安心!」、そう感じていただける空間を演出する必要があると痛烈に感じた瞬間だった。

9671f8ac「このままではいけない」とは、それまでも感じていたが、ではどうすればよいかを考える発想力の乏しさが障害になっていた。しかし、たとえ知恵やセンスですら、努力で絞りだせるものであることに気がつくにはさほど時間はかからなかった。
それから数日後には、2階を作って空間を有効利用する方法がイメージとして浮かんできたのだった。さっそく、パソコンで画像を加工し、イメージを具体化していった。そして、鉄骨業者をあたり見積もりをしてもらい、イメージは計画となり実行へと移っていったというわけだ。