CA3H1055これはディスカバリー4のフロントブレーキ。ブレーキパッドに円筒形の分銅のような錘が貼り付けられている。おそらく、これは鳴き防止のためのものだろう。
いつの時代でもブレーキ鳴きの対策は解決することはない。制動力を確保したうえでというのが前提ではあるが、絶対に鳴かない方法を開発して特許でも取ればきっと億万長者(子どもみたいな表現?)になれるだろう。
私の経験上、国産車に比べると傾向的にやはり輸入車は鳴きやすい。ランドローバーも例外ではなく、「鳴く」クルマである。クラシック・レンジローバー時代には、私が知る範囲だけでも純正のブレーキパッドに3〜4回の部品改良があった。2ndレンジローバーはそれ以上だったかも。メーカーでさえもそれほどまでに苦労している。アフターパーツで「鳴かない」とのうたい文句の商品でもダメなケースもあり、こればっかりは付けてみないと「絶対」と言えるものはない。仮に止まっていてもブレーキパッドの消耗によって、あるいは気温や湿度も影響するのだろうか、ふいに鳴きはじめることもある。

私がまだトヨタのメカニック時代に初代セルシオが発売されたときのこと。セルシオのオーナーさんに対しては「特別扱いして下さい」というのがトヨタ自動車からの指導だった。平社員はセルシオに触るな!ぐらいの勢い。ともすると、小型車のオーナーさんを無視してでもと言わんばかりの状態だった。もっとも、そんな体制はスグに崩れたが・・。
とにかく、セルシオのオーナーさんの声は絶対の時代だった。たとえ蚊の鳴くようなレベルでも、オーナーさんが「ブレーキが鳴く」と言えば何度でもブレーキパッドやディスクを交換した。もちろん、部品改良が行われていないうちから何度換えても同じことなのだが、「換えても音は止まりませんよ!」なんて口が裂けても言えない。
メーカーも日々研究しているのだろうが、オーナーさんによっては部品改良を悠長に待ってはくれない。現場レベルでもあらゆる知恵を持ち寄って、とにかく今、鳴かないようにする必要がある。あまりもたもたしていると「オレのクルマは欠陥車か?!」と騒ぎ始めるオーナーさんも現れる。信頼性を売りにするトヨタの宿命でもあると感じていた。
そんな時に、メーカーから「応急的だが、この方法は上手く行きそう!試す価値あり」との情報が届いた。ブレーキパッドのライニング部分の何箇所かにドリルで縦穴を開け、そこに鉛筆の芯を差し込むというもの。偶然なのか、科学的根拠があるのかは分からないが、鉛筆の成分を絶えずディスクの表面に擦り付けることで鳴きが収まるのだという。試すと確かに効果はあった。完璧とはいえないが、ある程度のセルシオが「欠陥車」呼ばわりされなくなった。
鉛筆よりも更に効果的だったのがコンテだった。程よい軟らかさが良いのだろうか。湿り気が良いとの意見もあった。5ミリほどのコンテの太さに合わせて、ライニング面の6〜10箇所に穴を空けてコンテを埋め込むわけだ。あまりたくさんの穴を開ければ、摩擦面が小さくなり制動力が落ちる。なので、少ない穴から鳴きが止まるまで徐々に増やして行く。その都度試運転を繰り返すという、根気勝負の作業である。
ちょうどその頃、私は「ある程度は鳴くことを許される」フォルクスワーゲン&アウディの拠点に配属になり、些細なことで「欠陥車」だと騒がれることから開放された。ただし、トヨタ時代に比べると、本当の意味での「欠陥車」に出くわす確率は増えたかも・・・。

「本当の意味での欠陥車」のエピソードも思い出せばいろいろありそうだ。けっこう面白いかも。長くなりそうなのでとりあえず今日はこの辺で。

8cc6a6ccそうそう、どうして今日ディスカバリー4のブレーキを見ることになったのかというと、タイヤ&ホイールの交換のためにご来店してくださったお客さまがいたからである。スタッドレスタイヤと組み合わせたアルミホイールはレイブリックオリジナルのウィンドストームの19インチ。
県外からのご来店ありがとうございました。

うん、我ながら、ディスカバリー4にもよく似合う!自画自賛でスイマセン。