ROVER(ローバー)の歴史は長い。私はそのほんの一角しか知らない。今日は、私が経験してきた限りのローバーに関するお話を。

ローバーという名前は知っていた。しかし、車種構成や排気量、シャシの構造など、それまでは一切知らなかった。というのも、それまでの私はスポーツカー一辺倒だったからである。スポーツカーといっても更に細かくカテゴリー分けされるが、私が好むスポーツカーは速いことが絶対条件だった。その速さも最高速やゼロヨン加速のような尖がったものではなく、峠やサーキットを走って速いクルマである。なので、そんな私が、ローバーの特定のクルマに興味を持つことはなかったわけである。
「それまで」というのは1995年の春までのこと。私が当時のローバーのディーラーのメカニックとして赴任した時である。

MG ROVER AUTOCRAFTここでもう一度、ローバーに関する整理をしておこう。
現在はROVERという自動車メーカーは消滅しているが、今でも「ローバー」という言葉は存在する。実際にこの業界にいると頻繁に耳にする。そして、みなさんが言うローバーにはいろいろな意味がある。なぜ、いろんな意味を持つようになったのか?これは私なりの答えである。
私がローバーに携わるようになった1995年当時のこと、大きくローバーといえば、ローバー・グループのことだった。ローバー・グループとは、「ROVER」「MINI」「MG」、そして「LAND ROVER」の4ブランドを取り仕切るメーカーだった。車名としての「ROVER」と、会社としての「ROVER GROUP」とが混乱しないように、グループ内のROVER車を「ROVER CARS(ローバー・カーズ)」と呼ぶようになっていた。
日本国内では、その全てをローバー・ジャパンが輸入販売しており、車検証上では、それら4ブランドの車名は全て「ローバー」だった。もちろん、ランドローバーも全車「ローバー」である。
「ローバー・MINI」と呼ばれるのもMINIが一時期ローバー・グループに仲間入りしたいたからであって、ローバー・グループの中では、日本で最も知名度があったのがMINIであった。なので、ある人が「ローバー」といえば、=MINIのことだったりするわけである。
そして、現在ではMINIはBMWグループに属しているので、BMW・MINIであることはご周知のとおり。
1996年にレイブリックを始めて以来、取り扱い車種の説明をするのに「イギリスのランドローバー」という言葉をよくつかう。それを聞いた人の多くは「ローバー」だけが印象に残り、MINIの専門店をしていると思っている人もいた。そして、初めてレイブリックに訪れてくれた時には、「へえ、レンジローバーやってるんだ。」と。
そんなわけで、ひとことで「ローバー」と言っても、それがMINIを指すことなのか、いややはりROVER CARSのことなのか、ランドローバーを含めたローバー・グループの全車を意味するのかは個人々々であり、ケースバイケースなのである。

ローバーに限らず、世界中の自動車メーカーは合併・吸収を繰り返し、その組織図はとても複雑に変化し続けている。私も、自分が直接携わっている時代以前のROVERのことはほとんど知らない。

タイトルどおり、今夜ははROVER CARSの話をしはじめたのだが、結論に至る前にずいぶん長くなってしまった。
そんなわけで後編は明日以降に・・。