私が東京へ行っている3日間のうちに、レイブリックのメカニックが時間を作ってヴェスビウス号のパワーウィンドウの修理に取り組んでくれていた。
CA3H2115火曜日は診断の途中で時間切れ。そのときにメカニックと共に配線図を囲み、「フロント左右のパワーウィンドウが同時に動かなくなる原因」をたどった。この一点に不具合が起きれば辻褄があう、というポイントだ。
そのひとつが丸印の三つ又の場所。これはパワーウィンドウのEUCのアース線。左右からの配線が合流し、その後ボディーアースされる。ここが断線していれば左右同時に作動しなくなる。ただ、これが車両のどの部分なのか?そこまでの詳しい情報は我々は持っていない。
こんなディスカッションを最後に、私はレイブリックを離れた。

CA3H2103そして、メカニックは配線の色をたどってこの場所にたどり着いた。同じ色の三本の配線が一まとめにされている箇所である。作業途中の写真がないが、その場所は左フロントピラーの根元付近にあったそうだ。その三本を確認すると導通がない。つまり断線している。
三本の線がまとめてカシメられていた場所のブーツを切り開いてみると、錆で配線が腐食しており、やはり断線していた。写真で僅かに見える緑色の錆が腐食の痕。
さて、なぜここが腐食していたのだろうか?考えられる原因は雨水の浸入。そういえば、昨年夏にサンルーフからの雨漏れ をして修理をしている。あの時は運転席側のシートと足元カーペットが濡れていて乾かしたが、もしかしたら助手席にも湿気が回り込んでいたかもしれない。僅かな水分が時間をかけてゆっくりゆっくり腐食を進行させていたのかも。

スイッチが弱いとか、リレーがよくイカれるとか、今回はそういう傾向的な部位ではなく、たまたまそこに水分が付いたために起こったこと。なので、みなさんのクルマで同様の症状が起こる可能性は極めて低い。
今日のブログの意図は、トラブルシュート(原因探求)方法の一例を紹介したかったから。まず構造作動を理解すること。私の場合、電気関係の時は、ひたすら配線図を見ることから始まる。どこの電流が止まったらこの症状がでるのか?その可能性をピックアップする。該当しない部分にマーカーペンを引いていき、残った部分が「可能性のある場所」という方法をとることもある。あとは順番に追い込んでいく。何度テスターを当てれば最短で原因にたどり着くのか?クイズやパズルと同じである。
例えば、相手に1から10の数字をひとつ思い浮かべてもらい、それを当てるゲームをしたとしよう。「1ですか?2ですか?」と順番に聞いていけばいつか当たる。数回で当たるかもしれない。しかし、それはただの「勘」である。最悪の場合10回掛かる。
しかし、「6以上ですか?」、「奇数ですか?」などと二者択一で絞り込んでいけば最大4回の質問で必ず正解にたどり着ける。
今回の場合、「フロント左右が同時に動かなくなる可能性」を、消去法でピックアップした。そして数回の二者択一で原因にたどり着いた。ブーツを捲って断線を目視確認したのは裏づけが欲しかったからである。当然だが、山勘でアチコチのブーツを捲り始めることはしない。
こんなことの繰り返しが「経験」となり、「パワーウィンドウが動かなくなった場合はまずココを見よ!」となるわけだ。

と、まあ、今回はうまく原因にたどり着けたから幸いだったものの、最近ではコンピューター制御されている電装品が多く、配線図ではECU(コンピューター)内は表現されていない。そんな場合は、いくら配線図とにらめっこしていても答えはでない。レンジローバースポーツもパワーウィンドウにECUを備えている。配線を全てチェックしても原因にたどり着かなかった場合にはECUを疑うのだが、ECU単体の良否判定方法は基本的にはない。ECU以外の全てが異常なし、だからECUしか考えられない!そう追い込むわけで、どこかに見落としがあれば誤診の原因になり茶の木畑に入ってしまうことになる。
厄介な時代になってしまった・・・。