夕方、レイブリックのあるお客さまのオフィスを訪ねた。以前にも加藤ブログで紹介したことのある、GAZERY JAPONES(川島義信デザイン事務所)さん。
オフィスネームに個人名が入ってしまっているので、今更隠す必要もない。もちろん、今日はオーナーである川島さんのご了解を得て作品の紹介をさせていただくことにした。「オーナー」と表現したが、もちろんレンジローバーのオーナーでもあるが、今日の場合は「作品」のオーナーという意味で説明を進めさせていただくことに。

CA3H2217CA3H2218さて、その作品とは、「集合住宅」である。賃貸物件40戸すべて、とうか、建物丸ごとが川島オーナーによるプロデュースなのである。集合住宅の一角にご自身のデザインオフィスを設けられていることもあって、建物全体が「デザイン」を主張しているのは極く自然な成り行きかもしれない。

今日は、この集合住宅の中でも、ある特別な空間を見せていただいた。
デザイナーズ・マンションは6階建、いや、建築申請としては7階建なのだろう。しかし、意匠的には6階+ペントハウスといった造りになっている。特別な空間とは、そのペントハウスである。

CA3H2204CA3H2206
1階のエントランスを入ると既にその空間デザインに魅せられる。共用部分の贅沢さは、すなわち入居者の贅沢でもある。ここに贅を尽くした共同住宅が、各戸の造形に手を抜くはずがない。つまり、各戸にもしっかりコストが注ぎ込まれていることが明らかなのである。
今日は、その個別の賃貸物件である6階までを飛ばし、エレベーターで一気に7階まで上がった。
エレベーターの扉が開いてビックリ。そこはエレベーターホールではなく、屋上なのだ。だからペントハウスと表現したのである。

CA3H2196CA3H2189
完全に屋外なのだが、ペントハウスのエントランスとして庇が設けてあり、かろうじて雨からは守ってくれる。そして表札の代わりに「Gallery GAZERY」のネームプレート。扉を開けるといきなりリビング。そしてウッドデッキの中庭を挟んでガラス張りのベッドルームを望む。その開放感は圧巻である。

CA3H2183CA3H2190
リビングからベッドルームへはコの字型に回り込んでおり、中間部分がキッチンとレストルームになっている。
デザインと機能は、ともすると反比例を招くこともあるが、この空間は全くその気配を感じない。まさに機能美である。本質に拘ることこそ、オーナーのデザインコンセプトなのである。

CA3H2200CA3H2181
こうなると、開放「感」ではない、「開放」そのものである。
幼少の頃、夏には縁側を開けっ放しで蚊帳の中で寝た。「開放」とはそういうことである。プライバシーやセキュリティーが必須の現代。しかし、時間や季節を問わず、光や空気を感じることがこの空間では可能なのである。
名古屋市内の風景や都市高速道路、河川の堤防やそれに掛かるつり橋、それらに囲まれながら、しかも開放された完全なプライベート空間なのである。

CA3H2184CA3H2193
空間の中で静かに主張しているのは、個々のマテリアルなのだが、その中で私が最も気に入ったのがオープンキッチンである。
木目に見えるこのシンク、実はコンクリートなのだ。コンクリートの打ちっ放し工法である。通常、打ちっ放しはコンパネを使うのだが、これは木目の強い細い木材が型枠として使われている。型枠として使われた木の目がそのまま活かされている。
持って帰りたくても不可能である。この場で型枠が組まれて固められた一点モノなのである。


いやあ、素晴らしい。しかし、ここは現在のところ住居としては公開されていない。例えば、イベントであったりパーティーであったり。デザインオフィスとしてのショールームであったりもするのかな。とにかく、ここに住んでいる人はおらず、予定にもないとのこと。
ホテル代わりにここに泊まるだけは物足りない。泊まる場所ではなく、やはり住む場所だと感じた。たとえ短い期間でも住んでみたい。そんな話をオーナーに投げてはみたものの、具体的に家賃の話は一切されなかった。せめて一ヶ月ぐらいでもいい。一生に一度ぐらいこんな空間で過ごしてみたい。

少し、現実に戻ってみて、このマンション、まだ空室があるとのこと。私の印象だが、家賃は思ったよりも安い。勝手に営業をさせていただくが、ご興味のある方はコチラからどうぞ。


曲にしよう。
今日紹介したこのペントハウスに自分が住んでいたとして、夜、仕事を終えてこの部屋にたどり着き、窓を開けて風を感じ、そしてオーディオの電源を入れる。うん、キース・ジャレットのピアノソロで決まりだな!
1976年の日本公演、その5都市で収録された6枚組のアルバム「SUN BEAR CONCERTS」から。
今夜はKEITH JARRETTで、「NAGOYA」。