動物の子供が生まれて初めて見る姿を母親と認識することがあるように、人間のファーストインプレッションもとても重要なものだと私は思う。例えば1996年にレイブリックの社屋として賃貸物件を探したときもそうだった。不動産屋で紹介してもらった何件もの物件を、何日もかけて見て回ったのだが、結局最初に見た物件(現在の場所)に決めたのだった。昔、ギターを覚えたての頃、南こうせつさんがオベーションのアダマスを弾いている姿を見てそれがひとつの完成形としてインプットされ、やがて私もオベーションのアコースティックギターを手に入れることになった。

で、今日はランドローバーのタイヤについて。
1995年、私がランドローバーに出合った頃、当時の2ndレンジローバーに純正装着されていたタイヤの銘柄はおよそ9割がミシュランXPC、そして残りの1割がピレリSCPだった。これが私のファーストインプレッションなのである。
つまり、レンジローバーにはミシュランかピレリがスタンダードとして植えつけられてしまったわけだ。もっとも、日本国内市場では、当時のレンジローバーの標準サイズだった255/65R16をラインアップしている銘柄はほとんどなかった。
やがてヨコハマ、そしてブリヂストンもサイズ展開していったが、それらを選ぶユーザーさんは少なく、売り手側の私自身にその準備も心構えもできていなかった。お客さまから「何がいいですか?」と尋ねられれば、何も疑わずにミシュランかピレリをお勧めしていた。というか、その他の銘柄を試す機会がなかなか訪れず、その実力を知らなかったというのもお客さまにお勧めできなかった大きな原因でもある。

時代は流れ、車種構成と共にタイヤのサイズバリエーションも変わっていくなかで、現在の主流はミシュランやピレリに限定されるものではなくなってきた。ヨコハマやダンロップもランドローバーに適合するサイズを持ち、魅力的なブランドを展開するようになっている。
そんな中、一流メーカーの中で私が最もランドローバーとの距離を感じてきたのがブリヂストンだった。今日は私が感じる「印象」について語っているので、あくまで主観的な意見なのだが、ランドローバーとブリヂストンのイメージがなかなか重ならなかったのである。
ブリヂストンタイヤそのものは好きで、私が歴代乗ってきたスポーツカーのほとんどにブリジストンタイヤを装着してきた。だから好き嫌いで言えば好きなメーカーなのだが、ただ、ランドローバーと重ならなかったというだけなのである。

レンジローバー・スポーツ/スーパーチャージドのタイヤサイズは275/40R20。ポルシェ・カイエンも同じサイズだからなのだろうが、有名メーカー各社がこのサイズを用意している。ピレリ、ミシュラン、ダンロップ、ヨコハマなどなど。しかし、レイブリックではこれまでブリヂストンを組み込んだことは一度もなかった。
レンジローバースポーツ今回、お客さまのリクエストでレイブリックとしては初めてブリヂストン・デューラーH/Pスポーツを装着した。そしてお客さまのご了解を得て少し長めの試運転をさせていただいた。
私はブリヂストンの販売員ではないので偏ったコメントをするつもりはない。しかし、ハッキリ言ってこのタイヤは良い!そう感じた。どう良いのか、私の乏しい表現力でそれをお伝えするのはとても難しいが、「良い」だけでは伝わるものも伝わらない・・・。頑張って表現すると、例えば、重くしっかりしたボーリングの球を転がしたとしよう。真円度が高いボーリング球はとてもスムーズに転がる。ただ、それをコンクリートの上で転がしたなら、細かなゴトゴト感が出る。しかし、フローリングの床なら滑らかに転がる。H/Pスポーツは、フローリングの上に更に薄手のカーペットを敷き、その上を転がしているような感覚である。とても安定感のある転がりでありながら、しかし薄皮一枚とでも言うべきか柔らかい何かでカバーされているために、音や振動がとても上品に伝わってくるのだ。
以前、ヨコハマ・アドバンスポーツを装着したときは、そのカーペットがゴムシートのような感覚だった。少し吸い付く感じとでもいうのか・・・。そんな微妙な違いではあるが、それぞれに特徴を感じた。

お客さまへのお引渡しは今週末。あくまで私の感覚なので、オーナーさまはまた別の感じ方をされるかもしれない。その違いをお聞きするのもとても楽しみである。