レンジローバーには代々「コマンドポジション」という概念が存在した。レンジローバーならではの特徴的なドライバーの着座位置のことである。高い視点、単純な形状の広い窓から車両の四隅が見渡せ、車両感覚が掴みやすく運転のし易さと開放感が味わえるポジションのことである。

レンジローバーcarsensorさて、私も毎月発売を楽しみにしている中古車情報誌のカーセンサーEDGE、その今月の特集記事のタイトルは「デザインでクルマは選ぶ、カタチが全てだ!」だ。
記事では、世界中の「特徴的なカタチのクルマ」、つまりカッコいいクルマの数々が紹介されていた。ただ、このタイトルを見て私が真っ先に思い浮かべたのはレンジローバー・イヴォークだった。
ショーモデルのスタイルがほぼそのままのカタチで市販車になった例は非常に少ない。ショーではカッコいいクルマも、実用性を考慮して少しその特徴が薄れたカタチで発売されることが一般的で、つまり「カタチが全て!」ではなく、なんだかんだ言ってもやはり実用性にシフトされるわけである。
レンジローバーイヴォークその点、レンジローバー・イヴォークは潔かった。レンジローバー伝統のコマンドポジションでさえも完全に無視!ドライバーの視点から車体の四隅が見渡せることなど全く考えられていない。サイドウィンドのベルトラインの位置は高く、水平ではない。リヤにかけて持ち上がり、クォーターウィンドなどはかなり高い位置になり、そして狭い。その流れでリヤウィンドも配置されているので、リヤの視界はそれはそれは狭い。
日本では5人乗車になっているが、英国では元々定員4人で設計されたので後席はやはりそれなりの広さしかない。ラゲージスペースも狭い。
つまり、そんな犠牲は百も承知!デザインありきで格好よければいい!それがレンジローバー・イヴォークの魅力だと私は思う。コマンドポジションを犠牲にしたとはいえ、ブラインドモニターやパーキングアシストなどの電子機器により実用面ではすっかりカバーできている。デザインまっしぐらのスタイルで市販が実現したのは、そんなことも大きな要因になっているのではないだろうか。