レンジローバー
古い塗装を削り落としたあとは、まず下地となるサフェーサーの塗装を行なう。この艶消しブラック塗装がそう。吹き付けた塗料がしっかり付着し、キレイに発色して長持ちさせるための下地処理である。明るい色に仕上げる場合には白のサフェーサーを使うが今回は黒。
サフェーサー塗料が乾いたら細かなペーパーで磨いて表面をツルツルすべすべにする。小さな凹みがある場合にはパテを付け、乾燥させてから同様に磨く。表面のブツブツや、付いてしまった埃を取り去り、とにかく滑らかな表面に仕上げる。それが終わってようやく本塗装。
そういえば、中学の美術の授業で油絵を描いたときも同じようなことをしたっけかな?まっさらのキャンバス全面に、まず白の絵の具を塗った覚えがある。その時の先生の指導がどんなだったか確かな記憶はないが、おそらくサフェーサーと同じような目的だと思う。

レンジローバー_オートバイオグラフィー車体の全部を塗装する全塗装(オールペイント)、オートクラフトでは全てのパネルにおいて同じ工程を進めていくことはしない。例えば、今回はボンネットとルーフを先行して行い、ドアやサイドパネルは少し前の工程を追いかけていく。
サフェーサーやパテには一定の乾燥時間が必要。もし全てのパネルを同じペースで進めていくと、サフェーサーを塗ったあとやパテを付けたあとに必要となる乾燥期間のあいだ、エンジニアはどこも手をつけられなくなる。その間、手が止まってしまうわけだ。このクルマとは全く別の板金塗装作業があればそれに取り掛かればよいのだが、必ずしも無駄のないタイミングで別の仕事が控えているわけではない。
一台のクルマの中でもこうして時間差を設けることで、作業の待ち時間がなくなり効率的に進められるというわけ。
今回もルーフとボンネットのサフェーサーを乾燥させている時間を利用してサイドパネルの古い塗装の剥がしに取り掛かった。この作業が終わる頃にはサフェーサーは乾燥し、すぐに磨き作業に入ることができる。

明日から一週間、私はオートクラフトを離れる。その間、このような時間差攻撃を繰り返しながらおそらく全ての下地処理が進むことだろう。本塗装の工程に入っているパネルがあるかもしれない。あるいは、車体から取り外してあるバンパーやグリル類を手掛けながら、更なる時間差攻撃に入っているかも。

では、連載の続きは再来週に。
梅雨も明け、乾燥しやすくなるので作業が捗っていることを期待して。