レンジローバー

オートクラフトのガレージに偶然3台のクラシック・レンジローバーが並んだ。散歩に連れていってもらえるのを今か今かと待っている犬のように、なんとも愛くるしい光景である。

向かって右は1990年モデル。日本に初めて正規輸入された年のものである。当時としてはとても希少なアルパイン・ホワイト。今でも「ホワイト」というだけでプレミアが付くほど。探しても見つからないから、全塗装を施したオーナーさんも少なくない。
かく言う私も例外ではなくアルパイン・ホワイトのファンである。過去には自分専用の社用車にしていたこともある。
もうずい分前のことだが、私が最初にアルパイン・ホワイトを手に入れた時のこと、あるお客さまはその数ヶ月前別のカラーのクラシック・レンジローバーを購入していただいたばかりだった。そして、私が乗り始めた白のクラシックを見るや、「追い金を出すから譲ってください!」と言いはじめた。え?だって、まだ買っていただたばかりなのに・・・。そんな話は聞いてくれない。追い金が幾らか教えてください!の一点張り。とうとう折れた私が金額を提示すると、自分の勢いが失われないうちなのか、私の気持ちが変わらないうちなのか分からないがすぐさま代金を口座に振り込んでこられたのだった。もちろん、その後は長い間大切に乗っていただけたのはとても嬉しかった。

向かって左は1995年最終限定車、その名も「Classic」。ボディー同色のカラードバンパーが特徴的なモデルである。この限定車には二色のボディーカラーが用意されていた。当時のランドローバーとしては最も人気があったエプソム・グリーンと、そしてこのビアリッツ・ブルー。ランドローバーの純正色としては比較的珍しい鮮やかなメタリックカラーである。淡いというか、微妙な中間色がランドローバーの主流の時代ではあったので初めは敬遠されがちなカラーだった。そしてウレタンバンパーも・・・。クラシックはメッキバンパーでしょ!というのが大方の意見だった。しかし、クラシック・レンジローバーの集大成ともいえる最終モデルであり、実際にそれまでのモデルと比較すると故障の頻度も格段に少く、信頼性は高く評価されていた。
このウレタンバンパーを取り外し、従来のメッキバンパーに交換されたオーナーさんも居た。ウレタンバンパーを取り付けるためにはサイドパネルに穴が開けられており、メッキバンパーに変更するにはそれらを埋めるべく板金塗装も必要だった。新品部品と工賃、板金塗装代金を合わせて100万円近くの費用が掛った記憶がある。それでも、至上のクラシック・レンジローバーを作る価値は確かにあった。
その後、徐々にウレタンバンパー仕様はファンに受け入れられるようになり、現在ではこのモデルを指定でご希望されるお客さまも増えている。
ちなみに、このクルマの車高が低いのはこのクルマがエアサスペンション仕様であり(1993〜1995年はエアサスペンション車)、アクセスモードといって最も低い位置に下げられているためである。

最後に真ん中のクルマ。これはオートクラフトで作ったデモカー。1970年代に存在した純正色「バハマ・ゴールド」を再現したつもりだが、きっと本当のバハマ・ゴールドよりも鮮やかなイエローに仕上がっていると思う。「思う」というのは、私は本物のバハマ・ゴールドの実物を見たことがないから。Webや本で見る限り、本物はもう少し黒く濁ったように見える。バハマ・ゴールドだと信じてこの色を作り、塗り始めたときには「おや?」と思った。だが、これはこれで気に入ったのでそのまま塗装を進めたのだった。「バハマ号」と呼んでいるが、厳密には正しい呼び方ではないのかもしれない(笑)。しかし、返って唯一無二の存在感を覚えるようになり、完成が近づくにつれて生涯付き合っていきたいと思うほどお気に入りのクラシック・レンジローバーになったのである。

クラシック・レンジローバー、三色揃い踏みの巻!でした。