自動車を維持する上で、車検に掛かる費用はとても重い負担に感じる。車検のタイミングで思いきって新しいクルマに買い替えようか!とか、せっかく車検を受けたのだからもう数年頑張って乗るぞ!とか、カーライフそのものを左右するとても大きな要因である。経費面では自動車保険料の負担も大きいが、保険の更新時期に合わせてクルマを買い換えるなどという発想はあまり聞かない。

消費者の立場としては車検時の費用負担をもっと軽くして欲しいと思う。しかし、整備をする側からすれば車検制度があるからこそ多くのクルマが安全に運行できていることがとてもよく分かる。例えば、サスペンションやステアリングのボールジョイントのダストブーツ。これに亀裂が入った段階ではおそらくドライバーは何も気がつかない。しかし、そのまま乗り続ければ亀裂からグリスが漏れ、逆に水や泥が入ってやがてボールジョイントが錆び、そして磨耗が進む。やがて音や振動が出るのだが、それがドライバーに伝わってくれれば幸い。しかし音や振動は感覚のことなので全てのドライバーに同じように伝わるとは限らない。例えばオイル交換などで入庫し、メカニックがクルマをリフトへ移動させただけで車両の異音に気づくこともある。エンジンのウォーターポンプや、ブレーキ関係でも時々ある。オーナーに、この音の原因はココの故障ですよと説明すると、「そういえば最近音がしていたなあ〜」などとあまり問題視していなかったり・・・。
そんなふうにドライバーが気づいていない不具合も見つけ、適切な整備や修理を行うためにも定期点検や車検の制度があるわけだ。

BlogPaintこれは検査のワンシーン。
例えばブレーキ。フルードの漏れやホースのひび割れなどの状態、パッドの残量やディスクの磨耗状態などは目視によって点検し、取付状態は工具を当てて確かめる。そして実際の効き具合はこうしてテスターで点検する。感覚ではなく、きちんと数値で示すようになっているのだ。各車輪ごとの制動力と左右差に基準が設けられている。パーキングブレーキも同様に行う。

車検は同時に重量税や自賠責保険料を支払うのでトータルで「高い!」と感じられてしまうことが多いが、だからといって整備内容を削って節約してしまっては本末転倒。みなさん、どうかそこのところは慎重に。