私が自動車整備業界に入り、メカニックとして最初に携わったのは国産のトヨタ車。数年間の短い期間ではあったが、当時勤務していたサービス工場ではリベッターという工具を使ったことはなかった。トヨタ車の整備ではリベットは使わなくても良いようになっていたのだと思う。
その後、フォルクスワーゲン&アウディを取り扱うディーラーサービスに転勤になったときに初めてリベットを目の当たりにした。1992年当時、フォルクスワーゲンにコラードというクーペ車があった。その、コラードのウィンドレギュレーターが、ドアに対してリベットで留まっていた。トヨタ車で育った私にとっては、「おいおい、なんという整備性の悪さなんだ・・・」と愚痴を言いたくなるほどだった。
まず、留まっているリベットを取り外すことが大変だった。ボルトで留まっているのならハンドツールで緩めてやればよいのだが、リベットとなるとドリルでリベットの頭を削り落とすなど、かなり面倒な作業となる。新車工場のラインで生産する際にはボルト締めするよりもリベット留めのほうが効率が良いのかも?などと、その理由を考えてみるものの、やはりサービス工場の現場の立場ではリベットはやめてほしいと思っていた。
1995年にランドローバーを取り扱うディーラーサービスに転職した際、そこでもリベットを見ることになった。コラードと同様、2ndレンジローバーのウィンドレギュレーターもリベット留めだった。そんなふうに、欧州車ではリベッターを使った作業はたいして珍しいことではなく、むしろ頻繁に使う工具でもあった。そして私自身、リベットを使うことに慣れていくにつれて利便性を感じるようにもなり、仕上がりの見栄えもとても好きになった。

レンジローバー写真はバハマ号のロードスペースの側面。元々ここにはCDオートチェンジャーとオーディオアンプが取り付けられており、そのブラケットはリベットで留められていた。全塗装をする際、オーディオシステムを社外品に交換することを前提に、純正のCDオートチェンジャーとオーディオアンプと共にブラケットも取り外したのだった。なのでご覧のように多数の穴が開いている。この外側は直接外部とつながっているわけではないので穴が開いていても水が浸入するようなことはない。ただ、気分の問題だけである。どう処理しようか迷っていたのだが、結局リベットを使って蓋をすることにした。何かを留めるわけではない。ただ穴を埋めるだけである。
クラシック_レンジローバーレンジローバー_クラシック
穴が開いたままとリベットを打ったあと、どちらが目立つのかという理論をしてもそれは無駄なことだろう。ただ、どちらが好みかの問題である。私はリベット留めの処理跡が好きなので、むしろ目立っても良いと思った。