第一章 レンジローバー×オーナーより)

幼少の頃のことだが、私の叔父もクルマ好きで、週末になると早朝から洗車を始め、エンジンルームの各部もチェックしてメンテナンスを行っていた。昔は決して珍しい光景ではなかったが、そういう時代だったのかもしれない。
中野さんも大概のことはまずご自身でトライされ、それでも手に負えないときに電話が掛かってきた。オイル交換はご自身でされていた。何かトラブルの際には、「バッテリーはチェックしたけど大丈夫そうだなあ、あとは何が考えられるだろう?」とか、そんなふうに質問してくることも多かった。

1997年の春、レイブリックにはナイアガラグレーの2ndレンジローバーの商品車があったのだが、当時の台所事情からすれば非常に重い在庫負担だった。早く売れてくれないと資金が回らない。開業して一年足らず、レイブリックの経営はあっけなく躓いていた。私はその2ndレンジローバーに乗って中野さんの元を訪ねた。営業するというよりは、実際のところは懇願だった。もし近い将来お買い替えを考えていらっしゃるなら、どうかこの2ndレンジローバーを買っていただけませんか、と。「今のレンジローバーもずいぶん乗ったし、そろそろ買い替えようという気持ちもあったよ。」 笑いながらそう仰って契約をしてくださったのだが、どこまで事実だったかを確認したことはない。

デビュー直後の2ndレンジローバーは、それはそれはよく壊れた。中野さんにお届けした2ndレンジローバーも例外ではなく、ひと通りのトラブルが順番に襲ってきた。BeCM、エアサス、エアコンなどなど。もっとも、クラシック・レンジローバーとは違い、2ndレンジローバーのトラブルの多くはオーナーが自力でなんとかなる次元ではなかった。もちろんその度に電話が掛かってくるのだが、「今回はなあ!こんなふうに・・・」と、むしろそれを楽しんでおられるかのような口調で冷静に状況を説明してくれたのだった。
レンジローバーと付き合うこと、レンジローバーのオーナーになるということ、そういったことも中野さんからはたくさん学ばせていただいた。格好いい大人とは、格好いいレンジローバー乗りとは、そんなことも含めて。

続く

レンジローバー