MG-Fのガソリンキャップは鍵を回して脱着するタイプで極めて原始的なもの。今日はガソリンキャップが内部で破損してしまったクルマが入庫した。
ガソリンキャップの新品パーツには、それに対応した鍵も付いてくる。しかし、本来はイグニションやドアと共通なので、今回のようにガソリンキャップを新品にすると二種類の鍵を持つことになってしまう。MG-Fに限ったことではないが、こういう場合には可能な限り元々の鍵だけで使えるように手を施す。

加藤ブログキータンブラー
ここでまず一般的なキーの仕組みについて。キーシリンダーにはキータンブラーというピースが差し込まれている。真鍮の"ロの字"型にクチバシが付いたような小さなパーツがそれだ。タンブラーには4種類の高さがある。鍵をシリンダーに差し込み、鍵のギザギザとタンブラーの高さが合致するとタンブラーがピッタリと引っ込んでシリンダーを回すことができる。今回の場合、シリンダーに対して8枚のタンブラーが差し込まれており、それぞれに4段階の高さがあるということは、4の8乗=およそ6万5千とおりの組み合わせができるというわけ。
余談だが、全世界で何十万台と販売される車種では同じ鍵の個体ができてしまうことになる。そんな場合、メーカーはできる限り遠くの国や地域に分散するように配慮していると聞いたことがある。

さて、話を元に戻すが、今回も鍵が二種類にならないように新品のガソリンキャップからキーシリンダーを取り出して、従来の鍵に合うように組み替えることにした。まずは新旧両方のガソリンキャップを分解。旧のキーシリンダーを取り出して新しいキャップに組み込めばそれで解決なのだが、今回は旧のキーシリンダーに摩耗によるガタが確認できたのでシリンダーも新しいものを使うことにした。
その場合には従来のキーに合うようにタンブラーを組み替える作業を行う。
MGFキーシリンダー
新しいほうのキーシリンダーに従来の鍵を差し込んだところ、偶然高さが合ったタンブラーは3個、残りの5個は合わずに飛び出している。
加藤ブログMGFキーシリンダー
できればタンブラーも新品を使いたので、まずこの5個を高さの違うところへ入れ替えてみて、それでもダメなら古いシリンダーから抜き取ったタンブラーを使用。そうやって全てのタンブラーを合致させた。
出来上がったシリンダーを新品のキャップに組み込んで完成。これで無事に従来の一種類の鍵で新しいガソリンキャップの開閉も行えるようになった。
MGFガソリンキャップ


そうか、こんなふうに"鍵"を使ってクルマを操作することも減りつつあるのだ。最近ではワイヤレスドアロックは当たり前、インテリジェンスキーでイグニションもボタン操作。鍵を差し込むことは一切ない、そんなクルマが増えている。
ドアが空かなくなればリモコンの電池交換、キーを交換したらテスターを繋いでセットアップ。今回のように工具を使ってパーツを分解し、工夫をして自らの手で修理を進めていく、そんなスタイルに喜びを感じている私は既に旧タイプのメカニックなんだろうな。