ブレーキは走っているクルマを減速させるための重要な装置である。足でグっと踏むブレーキは、その足の力だけでなく、一般的には足の力を更に補助するための「倍力装置」が備わっている。多くのクルマで使われているシステムは負圧式。エンジンは空気を吸い込み、圧縮して爆発させる。その一連の工程の中で「負圧」が作られる。その負圧を貯めておき、ブレーキペダルを踏んだ時にペダルが奥に吸い込まれるような形で補助を行うというもの。

レンジローバー_ブレーキレンジローバー_アキュームレーター
写真は2ndレンジローバーのエンジンルーム。2ndレンジローバーの倍力装置は電動モーターによるもの。ブレーキペダルを踏むと電動でポンプが回転し、回路内のブレーキフルードに圧力をかける。その圧力を利用して強い踏力を発生させる。基本構造としてはこのようなものだが、現実的にはブレーキを踏んだ最初の一回は電動ポンプで汲まれた圧力がほんの一瞬追いつかない可能性がある。そのために絶えず圧力を貯めておく必要がある。その役割を担う部品がアキュームレーター。黒い球状のパーツがそれ。
この中は高圧ガス室とフルード室に分けられており、ダイヤフラムで仕切られている。片側には高圧のガス、もう片側にポンプで組まれたフルードが汲み込まれ、圧力の「掛け合い」を行っている。そうやってポンプが回っていない時でもブレーキ何回か分の圧力が絶えず貯められていというわけ。

このアキュームレーターの機能が低下してくると、貯められる圧力がブレーキ4回分から3回分、そして2回分と徐々に低下してくる。やがては貯められる機能がなくなり、ブレーキの補助はポンプが回っている時だけに頼ることになるわけだが、例えば朝イチの運転し始めの一回目となると圧力が追いつかなくなり、当然ブレーキの効きが悪い。慌ててブレーキを踏み直す頃にようやく液圧が上がってきて無事に止まれるという、ちょっと危険な状態になる。
つまり、このアキュームレーターは消耗品であり、定期的に交換する必要がある。

その交換目安の判別方法を。
運転席に座り、エンジンを掛けずにイグニションON。エンジンルームから聞こえてくる音に注意していると、まずそこでポンプが「ブーン」と音を立てて回る。この音が止まった時、正常な状態ならアキュームレーターにはブレーキ4〜5回分の圧力が貯められている。それを確認するにはブレーキを踏んでみれば良い。ペダルを1回、2回と奥までゆっくり踏んでいく。新品状態なら4回から5回目を踏む頃になると「ブーン」とポンプが回り始める。アキュームレーターの機能が弱ってくると、それが3回目、2回目と下がってくる。2回目でブーンと回り始めるようになったらそろそろ交換時期が近づいているというところ。やがてはブレーキを踏むたびに回り始めるのだが、この状態では先の説明の通り、状況によては圧力が追いつかないことが起きる可能性がある。

安全のため、決して先送りをしてはならない重要なメンテナンス項目である。