特に車高の高い4WD車など、車両前方や側方に死角ができないようにするために、ミラーやカメラを使ってそれを克服しなければならないという法律がある。「直前側方運転視界基準」といって、つまり子供に気がつかずに巻き込んでしまうような事故を防ぐための対策である。
ランドローバーの場合、2006年モデルからボンネットの左先端に巨大なミラーが取り付けられた。安全を確保する上では非常に重要なものではあるが、「スタイル的にちょっと・・・」と私も感じたし、同様の声も多かった。そこで、当時乗っていたレンジローバー・スポーツを使って、フロント&サイドブラインドモニターを開発した。それにより合法的にボンネット・ミラーを取り外すことが可能になった。開発からおよそ1年間の間には何台ものボンネットミラーを取り外し、フロント&サイドブラインドモニターを取り付けた。その後、新車でフロント&サイドブラインドモニターが装着されるようになったのは2008年からだった。ただ、ヴォーグの場合、それらは日本に上陸してから作業が行われたと聞いている。ラジエターグリルと左側ドアミラーにカメラを取り付け、小型モニター内蔵ルームミラーに交換される。そしてミラー付きのボンネットから、ミラーのない通常のボンネットへ替えられた。じきにそれらは英国のメーカーで行われるようになったので日本でそのような作業が行われていたのはほんの僅かな期間だったはず。
そう、2008年モデルのアラスカ号こそが日本製フロント&サイドブラインドモニター装着車なのである。日本で取り付けたからどうだってことではない。ただ、そんなエピソードがあるということだけ。
レンジローバー_ヴォーグ

ついでにこんな話も。レイブリックでフロント&サイドブラインドモニターの開発に悪戦苦闘していた最中なので2007年のことだっだと思う、知人からモニター内蔵ルームミラーを製造しているメーカーを紹介していただいた。さっそく営業の方とお会いでき、そこでレイブリックの要望とミラーメーカーの商品とがピタリ合うことが分かった。コラボレーションをして製品化を!という話でその場が一気に盛り上がった。ところが担当者との二度目の打ち合わせの時のこと、「実は・・・、これは良いニュースか悪いニュースかは分かりませんが、ランドローバージャパンさんからモニター内蔵ルームミラーのオーダーがありまして・・・」と、つまりこれが日本製フロント&サイドブラインドモニターへ繋がる話だったのだ。新車からボンネットミラーが消えることは良いニュースだが、レイブリックとして開発販売する意味がなくなってしまったのは悪いニュースだった。自分の力でやってみたかったという悔しさを抱いたのは事実だが、そうはいってもランドローバーが永遠にボンネットミラーを使い続けるわけもなく、いつかは何らかの手法で映像化することは間違いないわけで、そもそもレイブリックとしてはその僅かな端境期だけがビジネスチャンスだったのである。
とにもかくにも思ったよりも早くランドローバーからボンネットミラーが消え去ったのであった。
こうしてアラスカ号のルームミラーを見ながら、そんな昔話を思い出したのであった。