輸入車には「モデルイヤー」というものがある。国産車でも最近では日産GT-Rなどが○○年モデルという呼び方をするらしいが、一般的にはモデルイヤーという概念はない。

トヨタ車から入った私のクルマ人生だが、1992年にフォルクスワーゲン&アウディのディーラーに赴任した際に初めてモデルイヤーの存在を知った。1992年、ちょうどフォルクスワーゲン・ゴルフがフルモデルチェンジしてゴルフ3がデビューした年だった。日本での発売は1992年4月だった。その僅か6ヶ月後の10月に本国で1993年モデルが発売され、それが日本に上陸したのは11月ごろだった。1992年の秋に1993年モデルが出る、それがモデルイヤーのシステムで、自動車の生産"年度"を示す。それを境に仕様変更が行われることが多い。姿カタチは変わらずとも、各部に改良パーツが使われるようになったりする。実際にゴルフ3の1992年モデルと1993年モデルではオートマチックトランスミッションのセッティングが大きく変わっていた。
数年が経つとモデルイヤーをきっかけにランプ類やラジエターグリル、バンパーなど、ボディーを大きく変更することなくイメージチェンジが図られるフェイスリフト(マイナーチェンジ)が行われる。

私が関わったことのある輸入車の全てには、17桁のシリアルナンバーが使われている。フォルクスワーゲンやアウディ、メルセデスやポルシェなどのドイツ車は「W」から始まる17桁。WVW・・・と続くわけだが、1桁目のWは西ドイツのW、続くVWはフォルクスワーゲン。アウディの場合にはWAU・・・であり、メルセデスはWD・・・、ポルシェはWP・・・というぐあい。
17桁のシリアルナンバーの各アルファベットや数字には独自の意味がある。製造工場やエンジンの種類、右ハンドルか左ハンドルか、などなど。そして10桁目にモデルイヤーが示される。1992年は「N」だった。1980年のAを起点にB,C,Dと続くのだが、年式符号では数字や他のアルファベットとの見間違いを防ぐためにI(アイ)やO(オー)、Q、U、Zは使われない。指折り数えると1992年はNになることが分かる。

私はフォルクスワーゲン&アウディのディーラーに1995年まで在籍した。1992(N)、1993(P)、1994(R)、1995(S)、そこまで経験したとことで1995年4月にローバーディーラーに転職した。するとローバーでは1995年モデルは「M」だった。ちょっとこんがらがった・・・。
始めて正規輸入された1990年モデルのレンジローバーは「G」、そして1991(H)、1992(J)、1993(K)、1994(L)、1995(M)というわけだ。1996年はNに進むと思いきや、急にTに飛んだ。私が覚えたドイツ車と同じ流れになった。足並みを揃えたのだと聞き、それ以来戸惑うこともなくなった。

例えば、お客さまから愛車の査定の電話問い合わせがある時など、できれば車検証を手元に置いていただくわけだが、そこで年式と共に知りたいのは車台番号の17桁の文字列なのである。10桁目のモデルイヤーを確認することで、「2005年に登録された2006年モデルですね!」と話が進むわけだ。実際にレンジローバーの場合、2005年モデルと2006年モデルではエンジンメーカーが変更になるほど大きなマイナーチェンジが行われた。同じ平成17年式でも車両の内容は大きく異なるわけだ。
逆に登録のほうが遅くなることもある。写真の例では、日本に上陸してからの在庫期間が長かったのか、2008年モデルが年を跨いで2009年に登録されていることが分かる。
レンジローバー 年度

ホームページの情報欄にモデルイヤーの説明を整理しながら、1992年当時のことを思い出していたのであった。