10年前、知人から「ブログ」という言葉を始めて聞いた。「それ何?」まだそんな時代だった。WebLog、インターネット上で日記を書くということ。インターネット上なので読者は不特定。完全にオープンの世界。どれだけ文章を考えて表現したところで、共感を持ってもらえない人も必ず現れる。しかし、ブログを通じてネットワークが広がる可能性もある。ブログ・・・、まだまだ得体が知れないもの。そのリスクに恐怖すら感じた。
しかし私はブログを書き始めることにした。そうやって未知の領域にもチャレンジしなければいけない切迫感のようなものを当時の私は感じていた。

現在のようにインターネット環境が充実したのはまだ10年そこそこ。実際に20年前を思い出してみれば、私は当時ローバーディーラーに勤務していたのだが、その頃はまだメーカーにホームページもなく、メーカーと販売店との情報通信手段はアナログ電話回線だった。
ちょうどその頃、"インターネット"という言葉を耳にするようになった。テレビでこんな話を聞いた。「インターネットという情報通信網が整備され始めているが、まだ使っている人が圧倒的に少ない。100車線の高速道路に数台の車しか走っていないような状態。」当たり前だ。まだ家庭にパソコンすら普及していない。多くの企業のパソコンの性能も低く、まだまだインターネットには対応していない。そんな時代にホームページを開設しても見てくれる人がいない。メールアドレスを取得しても受け取ってくれる相手がいない。高速道路がスイスイなのはいいが、インターチェンジがないのと同じこと、そんな時代だった。

1996年にレイブリックを開業し、業者にホームページ製作を依頼したのはその2年後の1998年だった。それでもまだまだホームページを見てもらえることは少ない時代だった。お客さまから、「ウチの会社のパソコンがインターネットに繋がっていて、そこでレイブリックのホームページ見つけましたよ!」なんてことを聞いたこともあった。私自身、自宅にインターネットを繋いだのは2000年のことだった。ホームページを作り、維持していても、とても広告費がペイできる環境ではなかった。それでも、これからはきっとそういう時代が到来する!そう信じて突き進んでいた。
その後ブロードバンド回線化が進み、数年間でインターネットは急速に普及した。予想的中!しかし落とし穴があった。それ以前に製作したレイブリックのホームページはたちどころに時代遅れのものになった。そうはいっても既に制作費も掛かっているし、易々とリニューアルできるほど予算に余裕はないし・・・。自動車業界に関わらずその頃からショップがホームページを開設するのはスタンダードになりつつあった。インターネット上には素敵なホームページがどんどん増えていった。早くからホームページを手がけた故に被ってしまった後塵だった。これからはきっと更にインターネット環境は加速をする。これ以上遅れをとってしまうのは悔しすぎる!
そこから、私とインターネットとの追いかけっこが始まった。

ホームページは置いておくだけではダメ、絶えず変化させなければ!当初から私はそう考えていた。しかし製作はプロにお願いしており、ページを作り変えればその都度費用も必要だし、打ち合わせだなんだで時間も掛かる。年に数回はやれても頻繁にはできない。かといって、クルマ屋の私にはホームページを操作できる知識もない。ただただもがく日々が続いた。
そこで出会ったのがブログだった。ホームページ上にリンクバナーだけ置いてもらえばよい。あとは私自身で日々更新をするのみ。変化を表現しにくいホームページに変化を与えられるひとつの手段だと、まずはそう信じてブログを書き始めたのだった。
ブログはただただありのままを書けば良い。時には深夜に眠い目を擦りながら書くわけだが、それに掛かる費用はせいぜい僅かの電気代ぐらい。気力さえあればやれること。それでたとえひとりの読者でもよいのでランドローバーへの興味が深まってくれたら嬉しいと思った。レイブリックってどんな店なんだろう、加藤ってどんな人間なんだろう?。ブログを更新することにどれほどの意味があるかは分からないが、そんなふうにしてやがてレイブリックに来店していただける人が現れるまでは書き続けよう。そのためにさらけ出さなければならないプライバシーなんてナンボのもの?!そんな覚悟もあった。

ブログのシステムすら分からない状態でまずはアカウントをとり、手探りで準備を始めたのが2005年の夏休みのこと。そして書き始めたのが10年前の今日、8月22日のことだった。
時代は移り変わり、ホームページは以前に比べれば安く簡単に作れるようになった。SNSなどブログ以外の選択肢も増えた。ブログの存在意義は10年間で大きく変わっている。
今日までの投稿数は3,288、このブログはいつまで書き続けるのだろうと時々考えながらここまできた。そして、この10年を区切りに幕引きしようと考えながらこの日を迎えた。実際のところ自分なりには達成感のようなものもある。ただ、今となってみればブログの更新は日々のルーティーンになっている。何らかの形で事業に役立てばとか、誰かに聞いてほしい思いとか、そういった具体的なことは最近では深く考えることはなくなった。ただ過ぎていく毎日が日記として綴れるような興味深く有意義なものであってほしい。ただそんなふうに考えている。だからこれからも自然体で書き続けようと思う。
観覧車からの景色