始めて読んだ東野圭吾さんの本は「秘密」だった。FMラジオで紹介されたのがきっかけだった。東野圭吾さんの作品はパーソナリティーの方のイチオシで、そのポイントは理工系出身の作者ゆえの論理的な内容とのことだった。「ガリレオシリーズ」はその典型で、物理学者の主人公が「科学」で事件解決をしていく爽快モノ。それと比較すると「秘密」はメルヘンというかSFというか、現実的にはあり得ない内容で、そんなふうに現代科学では説明できないことをあえて書いた東野圭吾さんの作品ということでパーソナリティーは熱く取り上げていたのだった。
なにはともあれ読んでみたのだが、それから私は東野圭吾さんの作品を片っ端から読むことになったのであった。
小説の中には自分との相性が悪く、途中まで読んでも物語の続きに興味が沸かないものもある。私はそういう本には固執せずにサッサと読むのをやめて次の本を選ぶ。そのほうが読書が捗るから。東野圭吾作品は展開が気になってトイレにまで持ち込んで読み続けたくなるものばかりだった。ところが、とうとう最後まで読み切れない作品に出会ってしまった。ただ、その時は既に彼の作品はほとんど読み切ってしまっていたのでそういう意味ではラッキーだった。それから何年も東野圭吾さんから遠ざかっていた。
少し前にオートクラフトの神田社長と小説の話をした。彼は電車通勤を活かして多くの本を読む。「最近、東野圭吾さんの本は?」と聞かれたので、「いや、さっぱり!」と答えた。そして、面白いですよ!と教えてくれたのが「マスカレードシリーズ」だった。さっそく第一作の「マスカレード・ホテル」を読んだ。久しぶりに東野圭吾さんの本を一気読みした。続けて読みたくなり、第二作の「マスカレード・イブ」も。こちらは時系列では第一作より以前のストーリー。リリースの順番も実にニクイ!

マスカレードシリーズには二人の主人公が登場する。警視庁刑事の新田浩介、そしてホテルのフロントクラークの山岸尚美。「マスカレードホテル」では山岸尚美が務めるホテルが舞台となり、そこで起きる事件がその内容。もちろん事件の推理が本題なのだが、私はホテル業務の描写にとても興味をひかれた。さまざまなゲスト、時には厄介な人にたいしてもホテルマンは(小説では山岸尚美が)巧みに対応をしていく。その対応は実にすばらしく、とても勉強になる。ホテルがサービス対応の模範となるわけがよく分かる。もちろんストーリーそのものもテンポがよくとてもおもしろい!読書の秋にお勧めの一冊、いや二冊。第三作は出るのだろうか。とても待ち遠しい。
加藤ブログ