私は、小説と映画、その両方を楽しんだ作品は少ない。ほとんどのケースは小説のみ。そして映画を観ずに留めておく。それは映画よりも、自分で作ったイメージのほうが遙かに壮大であるから。以前、ある作家がこんなことを言っていた。映画のもの凄い特撮やCGシーンも、文字なら超えることができる。確かにそうだ。小説を読んだあとに映画を観ると、私も同じようにそう感じる。それが残念だから小説を読んだら映画は観ないことが多い。
逆もしかりで、先に映画を観て十分に楽しめたものは、それから小説を読んでも映画での映像によって想像力が絶たれてしまって読書を楽しめない。だから、だいたいは小説か映画のどちらかで完結する。
しかし、稀に両方とも楽しめるものがある。何年か前に読んだ角田光代さんの「八日目の蝉」という作品もそうだった。小説を読んだときは、それが既に映画化されていることを知らなかったが、その後インターネット配信で観てしまった。"観てしまった”のだが、観てよかったと思った。映画も素晴らしかった。私は小説では主人公の少女「薫」の人物像を上手くイメージで描けなかった。それが映画によって「そうそう、こういう子!まさしくこんな子!」と、一気に映像に吸い込まれていった記憶がある。

今日の名古屋も暑かった。レイブリックの店先のコンクリートの上でアブラゼミがひっくり返って死んでいた。踏みつけては可愛そうなので、どこか草むらにでも葬ってやろうかと思い手に取ると、足を動かして必死に指にしがみついてきた。まだギリギリ生きていた。それから羽をバタバタさせて飛ぼうとして、また地面に落ちた。もう飛ぶだけの体力はない。土の中から出てきて今日が七日目ぐらいなのかな。今夜か、きっと明日には死んでしまうだろう・・・。そっと草むらに放してやった。
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