LAND COMFORT 加藤ブログ

ランドローバーを運転していると時間がゆっくり流れているように感じます。

ランドローバーを運転すること、ランドローバーのある生活、ランドローバーと過ごす時間、それらは全てとても心地良いこと。
「LAND COMFORT」とは、そんなことを考えながら出来上がった言葉です。

カテゴリ:レンジローバー > クラシック・レンジローバー

クラシックレンジローバーのトランスファーのノブのネジ部分は樹脂製。これが劣化でボロボロになる。オフロード走行をするとき以外、通常走行ではトランスファーをLoモードに切り替えることはほとんどない。雪道の下り坂で使ったことがあるが、それぐらいかも。
それでも、いざ操作した時に樹脂のネジが砕けてノブがコロッと外れしまうのも気持ちいいものではない。
バンデンプラのシフトノブも例外ではなく、ちょっと触ってみると既にグラグラの状態だった。
さっそくお決まりの修理。樹脂ナット部分を取り去り、金属製のナットを嵌め込む。そして隙間に接着剤を流し込んで固めれば完成。
トランスファーレバーを操作することは滅多にないが、愛車がいつも最高のコンディションに整えられていることが嬉しい。
レンジローバーバンデンプラ
レンジローバー
レンジローバークラシック



「レンジローバーリボーン」、これは魅力的だ!内容は記事を読んでいただくとして(http://autoc-one.jp/news/3179744/)、ずばり価格の面から話を進めよう。
135,000ポンド。最近の為替レートで換算すると、日本円でおよそ1,900万円。この価格を高いとみるか安いとみるか。自分がその金額を出せるかどうかは別として(つまり全く出せないのだが・・・)、私はこれが1,900万円なら安いと思う。まず、1970年代の2ドアモデルの個体、その中でもレストアベースに相応しい"良い"個体を見つけることがそもそも困難である。仮に見つかったとしよう、そこから手を加えていくのだが、最大の問題は、交換したいと思うパーツには入手不可能なものがあるということ。修理で対応できないものは交換したい。しかし新品パーツの供給がなければ作らなければならない。当時は適正価格で買えたパーツも、既に供給がなく、一個だけをワンオフで作ることになればコストは何倍にも何十倍にもなることもある。
今回のレンジローバーリボーンには使われていないが、一例をあげると、サイドプロテクションモール。これは何年か前にメーカーからの供給が終了している。これに代わるものを作るとなると、樹脂を形成するための金型の設計から始める必要がある。レイブリックではそれを行っているのだが、金型制作に掛かる初期コストは、同じパーツを数多くつくることでようやく単価を下げることができるのだ。
クラシックレンジローバー


1970年代のレンジローバーを完全レストアしようと思うと、そんな部品は何十点も出てくるだろう。普通に考えれば1,900万円では完全レストアは非常に難しいと思う。まあまあのことろまではできると思うが、諦める部分も出てくると思う。しかし、メーカーならそれらを作るための「型」を持っているだろうし、もしも新たに作るとしても「10台限定プロジェクト」と言っているだけあって、つまり製作費を最初から10台分として割ることで計算も立てやすいと思う。メーカーならではの技だと思う。

クラシックレンジローバーに特別な想いを抱いている私が生涯最後のクルマにするならと、まあ妄想ではあるが、そう考えるなら十分にアリなクルマだと思うわけである。仮に清水の舞台から飛び降りるつもりで問い合わせたとしても、きっと既に完売だろうな・・・。



10年前なら「レンジローバーのウィークポイントは?」と聞かれれば、間髪入れずに「エアサスペンション」と答えていた。
写真は1994年モデルのクラシック・レンジローバーのエアスプリング。経年でベローズはヒビ割れている。ここからエアが漏れる場合もあるが、ゴムが固くなることでアルミの台座との勘合部から漏れるケースも多い。このレンジローバーの場合、全体的に劣化が進んでいたので今回4本とも交換することになった。
レンジローバー_エアサスペンション

クラシック・レンジローバーのサスペンションがコイルからエアに変わったのは1993年モデルから。その直後1995年には2ndレンジローバーにフルモデルチェンジしたのだが、エア・サスペンション機構は基本的にはクラシック時代のシステムと同じ。ただ、エアの供給や分配を掌るバルブブロックやコンプレッサーが、それまでの床下シャシ部からエンジンルームに配置されたことで、熱の影響による故障が増えた。まさに2ndレンジローバーのウィークポイントだった。当時のオーナーさまは、その修理の頻度や費用でずいぶん苦労されたと思う。最近ではパーツの価格が抑えられてきたし、当時よりも供給パーツのクォリティーが上がっているようで、トラブルは減っている。経年によって、維持はむしろ楽になっている一面もある。
2002年に3rdレンジローバー時代になると、2ndレンジローバー時代の経験からだろうが、バルブブロックやコンプレッサーは熱いエンジンルームから別の場所に移動した。バルブブロックは再び床下シャシ部に、コンプレッサーはトランクに移動した。機械物なので故障が全くなくなったとは言えないが、2ndレンジローバー時代と比較すれば消耗も故障も随分減った。今では「ウィークポイントがエアサス」と言うことも少なくなった。



レンジローバー
これはクラシック・レンジローバーのドアアウターハンドル。ディスカバリー・シリーズ1も同様のデザインだが、アクションが横向きなのが特徴的。ただ、正直なところ、ちょっと使いづらい面もある。写真は助手席側だが、ご覧のとおり左手を使って開けている。仮に左手に荷物を持っていたら、右手で・・・、いや右手からの向きでは力が入らずとても開けにくいのである。
まあ、それは慣れで克服するとして、しかし、もうひとつ問題がある。長年の使用でリンク機構にガタが出ると非常に開けにくくなる。ハンドルをギリギリいっぱいまで引いてようやく、とか。
そんな時はドアトリムを外して内側からリンケージを調整をすることで解決する。縦に2本通っているリンケージは、1本はドアロックの開閉用、そしてもう1本がドアを開けるためにラッチを解除させるためのもの。生じたガタ(遊び)を調整でつめることでドアハンドルからの作動にダイレクト感が復活する。
レンジローバー_クラシック
クラシック_レンジローバー
一枚目の写真とのハンドルの引き具合の違いが分かるだろうか?調整後ハハンドルをいっぱいまで引く手前でドアは無事に開くようになった。



写真はクラシックレンジローバーのパワーシートスイッチ部分、そのカバーを取り外したところ。クラシックレンジローバーのパワーシートには4個のモーターが使われている。座面の前後スライド、座面前部の上下調整、座面後部の上下調整、背もたれのリクライニング。スイッチによってこれらのモーターを正転または逆転させてシートポジションの調整を行う。
今回の症状は座面後部、お尻の位置にあたるのだが、その部分の上下調整が効かなくなったというもの。スイッチ操作を行って状況の確認を行った。下げる側の操作をすると、モーターは「ウイッ!」と回ろうとする。しかし動かない。それもそのはず、シートは既に最下点にあってこれ以上は下がらない。まずここで分かったことは、モーターは内部で断線などしていないということ。下げる側に回そうとしているのだからおそらく正常。
ならば上げる側の操作は?しかし何も作動音がしない。モーターが動こうとしない。モーターが正常であることを前提にすれば、スイッチ不良によって通電しないのか、との推測が成り立つ。順序立てて診断をするならモーター部分や途中のワイヤハーネスの電源供給ラインで電圧チェックをし、12Vが来ていないことを確認したうえで、今度はスイッチの導通(抵抗値)を確認する。そこで答えが出る。
ただ、今回のことは経験値でスイッチであろうことは最初から想像がついていた。ここの接触不良はよくある。カバーを外し、スイッチの接点付近をめがけて注油し、スイッチをカチャカチャ動かすと予想通りモーターは回り始めた。
レンジローバー



クラシック・レンジローバーやディフェンダーでは、コンソールの裏側のスペースが狭いために、汎用の1DINオーディオが簡単に収まらないケースがある。束になった配線が邪魔をして規定の位置までなかなか差し込めずに苦労をする。
以前はそんなことも多かったが、最近では奥行きの短いヘッドユニットが増えてきてとても助かる。CD機能を備えておらず、ラジオとUSBそしてブルートゥス限定の機種だ。CDのメカニズムを省略することで奥行きが短くできるというわけ。
今回はディフェンダーに取り付けるのだが、オーナーさまのニーズはiPodに収めた音楽を手軽に楽しみたいというもの。CDを聴くことはない。そこで今回はパイオニア製のMVH-790という機種を選んだ。この機種の奥行きは97mm(写真右)。CD機能付きの一般的な1DINオーディオの場合の奥行きは165mm(写真左)なのでその奥行きの短さは歴然!価格もお手頃だし、いろんな意味でこれはいい!
ランドローバーレンジローバーaudio




キーマシン、キーを複製するための機械なのだが、最近ではめっきり使うことがなくなった。最近では盗難防止のためのイモビライザーが一般的だし、キー溝も内側に切られたタイプに変わっている。それどころか、スマートキーの登場で機械式のキーを使うこともなくなりつつある。
こんなふうにただキーを切るだけでスペアキーを作れる車種は、ランドローバー車ではクラシック・レンジローバーやディスカバリー・シリーズ1、ディフェンダーなど、一部の低年式の車種に限られてくる。実際に私がこの機械に触ったのも何年ぶりだろう。しかし、こんなふうに自らの手で機械操作をしてキーが出来上がる様もなかなか味があって良い。

レンジローバー_スペアキー
キーマシンを購入したのはもう十数年前ぐらいだろうか。それまではスペアキーが必要になるたびに専門業者に出向いて作ってもらっていた。しかし、その度に出掛ける手間と作業料が必要になるわけで、それならいっそ機械を購入してみようと考えたのだ。おそらく市販品では価格もクォリティーも最低レベルの機械だろう。安かっただけにダメ元という気持ちもあった。しかししかし、こうして今も現役で頑張ってくれている!

左側にサンプルのキー、右側に新品のキーをセットし、サンプルキーの段差をトレースしながら回転する歯を新品キーに当てていく。まず、そのキーのセットも慎重に行わなければならない。安い機械だけに精度は決して高くなく、無造作にセットするとキーの位置に多少の誤差が出てしまう。そうなれば出来上がったキー溝の高さが異なるものとなって場合によっては使い物にならない。手の感覚で、そして目で見て、左右のキーの位置を正確にセットする必要がある。それほどまでに曖昧な機械なのである。
しかしこれも慣れ。購入してすぐの頃には数回失敗はしたものの、その後は正確にスペアキーを複製できるようになった。今日の出来栄えにも満足!セキュリティーの関係上、モザイクを入れなけれならないのが残念。(笑) 
レンジローバー_キー



今日もクラシック・レンジローバーについて。
クラシック・レンジローバーの標準タイヤサイズは205R16。ラジアルタイヤが世に出始めた頃のサイズで、偏平率は82%、現在ではそのサイズは流通していない。そこで最も近いサイズとして205/80R16を選ぶのが一般的である。タイヤの幅を示す「205(mm)」は同じ。しかし偏平率は2%異なり、これによりタイヤの直径は計算上742mm(205R16)から734mm(205/80R16)と、8mm小さくなるわけで、車高も4mm低くなる。
あるいは、215/80R16を選ぶ場合もある。この場合タイヤ幅は10mm広くなり、外径は8mm大きくなる。

どちらが良いかはそのスタイルを含め趣味の問題でもある。ちなみに、私はクラシック・レンジローバーには細いタイヤが良く似合うと思うので205/80R16を選んでいる。
中古車専門店_レンジローバータイヤ


ただ、いずれにしても両者ともにタイヤの選択肢がとても少なくなっている。大手タイヤメーカーのカタログやウェブサイトを見ても既に掲載されておらず、ただ、メーカーに問い合わせてみると何故か「在庫有り」だったり、そんなふうに綱渡り的な供給体制なのである。
タイヤは製造からの保存期間の関係で何年も在庫をしておけないのが厄介なところ。そうでなければレイブリックでたとえ10台分でも確保しておきたいところなのだが・・・。
幸い、最近ではアジア各国メーカーのタイヤも日本国内で徐々に流通し始めており、もちろんまだまだ馴染みがなく一般的ではないが、それでも選択肢が残ることは安心材料だ。

日本国内のクラシック・レンジローバーは確かに減っている。しかし、たとえ最後の一台になったとしてもタイヤが摩耗すれば必ず新品が必要になる。どこかひとつのメーカーで良いから、どうか205サイズを絶やさずに作り続けていてほしい。
レンジローバー_タイヤ



今日から7月。2015年も今日から後半戦。時が過ぎるのが年々早くなっていく・・・。

さて、現在は梅雨の真っ只中。列島にはしっかりと梅雨前線が横たわり、恨めしくもあるが、それでも毎年同じように季節が巡ってくることには素直に感謝したくもなる。

中古車専門店_レンジローバー
今日も午前中はとても激しい雨が降った。クラシック・レンジローバー、バハマ号に乗り込んでしばらくするとウィンドウガラスが曇りはじめた。昨年、フトントガラスの熱線が効かなくなり、断線していた部分を半田を使って修理をした。そういえば、雪の季節にも何気に使っていたが、つまり熱線の機能は復活していたのである。今日も熱線を効かして曇りを取り除いた。
レンジローバー_クラシック


バハマ号は1991年モデル。1993年モデルまでのレンジローバーは、現代の一般的なクルマと明らかに違う点がある。それは空調がエアコンではなく、クーラーであること。両者の大きな違いは、クーラーでは除湿された温かい風を出すことができないこと。クーラーを点ければとにかく冷やす専門。そして、通常、エアコンにはダッシュボード上にフロントガラスの内側に風を当てるためのデフロスター機能がある。エアコンによって除湿された乾いた風(場合によっては温かい風)を直接フロントガラスに当てることで急速に曇りを取るというもの。最近ではオートエアコンのクルマも増え、ドライバーが曇りを気にする間もなく、オートによって知らない間に曇りが取り除かれてることも多いだろう。
こういった面からも、クラシック・レンジローバーはたった二十数年しか経っていないにも関わらず、かなりレトロな仕組みであることが分かる。

今日のようなガラスの曇りは、熱線ではなくクーラーを点けることでも取り除くことができる。ガラスに直接風があたらなくとも室内が自然に除湿されることで曇りはとれる。ただ、もしかしたら、当時の英国にはクーラーが付いていない仕様もあったのかもしれない。国土の気候的にクーラーを必要とする季節が非常に短いからだ。
例えば毎年7月にスコットランドで行われるゴルフの全英オープンでは、防寒ために出場選手がカシミヤのセーターなどを着るシーンをよく見る。そんな土地では一年を通じてクーラーの涼などきっと必要ない。しかし、雨が降れば曇り取りは必要。だからフロントガラスに熱線が必要になったのではないだろうか。贅沢装備というよりは必要にして最低の機能だったのだと私は考えている。



入庫している1995年最終モデルのクラシック・レンジローバー、そのメンテナンスの過程でトランスファーレバーを操作したらノブがもげてしまった・・・。クラシック・レンジローバーのこの部分は経年によってほぼ全滅。トランスファーをLoモードに切り替えるなどの操作をすることも少ないため、脆くなったノブに気が付かないケースがほとんどだが、いざ操作をしようと思うとこうして樹脂のネジ部分が崩れてしまうのである。
レンジローバー


そんなわけでこの修理はもう何度も行っている。その度に金属製のナットを埋め込むカタチで強化し、修理を行っている。
レンジローバー_クラシック


現役時代から故障の多さが噂になるほどだったこの頃のレンジローバーだが、こうして修繕と改良を重ねることでどんどん丈夫なクルマに仕上がっていくようで、それがまた嬉しい!
レンジローバーClassic



バハマ号、クーラーのガス漏れが見つかりホースを交換したのは昨年の夏。あれから一年が経ち、再び冷風が弱くなった・・・。今回もガス漏れの様相。ホースを交換した際にクランプの締め付けが完全ではなかったのか?確認してみたがしっかりと締まっている。リークテスター(ガス漏れ検知器)でも蛍光剤での点検でも漏れ箇所は見つけられない。

クーラーガス循環回路の構成部品は至って簡単。

コンプレッサー

コンデンサー

レシーバードライヤー

エキスパンションバルブ

エバポレーター

コンプレッサー


たったこれだけ。
これらがホースやパイプで繋がれているので、もちろんそれらホース類や各ジョイント部分も漏れの可能性はあるのだが、いずれにしてもこれら全てを点検すれば答えは出る。・・・はず。
情けないが、それでも原因箇所が特定できない。もちろん、奥まっていて見えにくい場所や手や工具が届きにくいこともあるが、それでも可能な限りのテスター点検や目視点検は行った。しかし分からない・・・。
このままガスを補充すればひと夏ぐらいはもつ可能性が高い。毎年数本のガス補充で済むといえばそれまでだが、できることならもう少し完全な状態に近づけたい。
クラシック_レンジローバー

そこで今一度ホースやパイプの全てのジョイント部を増し締めした。今できることはそれぐらい。明らかに緩かったわけではないが、僅かに締まった箇所もあった。手応えとしては薄い・・・。とりあえずこの状態で真空引きをして一日ぐらい置いてみよう。真空保持が良否判定の結果の全てではないが、それでも改善の可能性として期待することはできる。
クラシックレンジローバー



板金塗装工場からClassicが戻ってきた。オートクラフトでは自社工場で作業を行えるのだが、レイブリックの場合には板金塗装は取引先の工場へ依頼する。なのでその過程をレポートすることができないのが残念だ。
クォーターパネルに開いていた穴は、裏側から当て板を貼り、パテを使って平面を出し、その後塗装を施す。するとこのように跡形もなく穴は消える。
「Classic」という名のクラシック・レンジローバー限定車は、オリジナルスタイルのクラシック・レンジッローバーへと変身を遂げた。
中古車専門店_レンジローバー




レンジローバー
「Classic」という名の限定クラシック・レンジローバー、今回その特別仕様でもあるエアロバンパーを取り外してオリジナルメッキバンパーへの交換を進めているのだが、ガバっと被せられたリヤウレタンバンパーを取り外すと、クォーターパネルには取り付けのための穴が現れる。この穴を埋めるために、これから板金工場へ移動するところ。仕上がりが楽しみだ。



レンジローバー
クラシック・レンジローバーのルーフはビスで固定されている。グルリとひと回り、何十本ものビスで留まっているので決して簡単とはいえないが、それでもドライバーなどのハンドツールだけで脱着が可能なのである。ディフェンダーやその前身のランドローバーも同様の構造で、ルーフをはじめボディーパーツは基本的にハンドツールで分解可能であり、次の段階でもせいぜいリベット留めがされているだけ。(ヨーロッパではリベッターもハンドツールの範囲だと考えられているような気がする)
一般的なモノコック構造の車では、事故などによってルーフやクォーターパネルなどを交換する場合には切断→溶接といった大掛かりな修理が必要となるわけだが、そういう意味ではクラシック・レンジローバーやディフェンダーにおいては拍子抜けするほど単純な作業で済んでしまうこともある。
一台のクルマを長く維持しようと考えた場合、こんなふうに簡単な構造であることはとても重要だ。溶接機器やその技術も必要ないわけだし、分解組立を自力で行なうことができる範囲が多ければ多いほど「手に負えなくなるリスク」を伴わずにすむ。



1970年に誕生したレンジローバーは、25年の時を経て1995年に始めてフルモデルチェンジを行った。二世代目となるレンジローバーが発表されたあとも初代のレンジローバーの人気は衰えず。当時のインポーターであったローバージャパンは次世代のレンジローバーとほぼ併売するかたちで初代レンジローバーのファイナルモデルをリリースした。それが限定車「Classic」。ボディーカラーはエプソム・グリーンとビアリッツブルーの二色。エアロスタイリング・キットと呼ばれるボディキットが組み付けられていたのだが、そのバンパーは賛否両論だった。
標準モデルはスチール製メッキバンパーで、「それがレンジローバーらしい」という声も多く、実のところ中古車市場でも標準モデルのほうが人気が高かった。ただ、「最終モデル」というひとつの完成形であることは事実であり、ユーザーさんによってはエアロスタイリング・キットを取り外して、標準仕様のメッキバンパーに交換される方もいらっしゃった。
その後、徐々にエアロスタイリング・キット付きのClassic人気も上昇し、ひとつのブランドとして尊重されるようになった。

あれからもう20年が経つ。あるClassicのオーナーさまは、どうやらメッキバンパー化を検討されているようだ。我々もそのカスタムに携わるのは久しぶり。原型であるこの状態からの変化の様子を、できれば当ブログでレポートしていきたいと思う。
レンジローバー

修理は悪くなったところを元に戻す作業。メンテナンスは悪くならないよう現状を保つための作業。それとは異なり、カスタムはプラスαの喜びが得られるもの。作業を行う側の我々もとてもテンションが上がる!



ブレーキは走っているクルマを減速させるための重要な装置である。足でグっと踏むブレーキは、その足の力だけでなく、一般的には足の力を更に補助するための「倍力装置」が備わっている。多くのクルマで使われているシステムは負圧式。エンジンは空気を吸い込み、圧縮して爆発させる。その一連の工程の中で「負圧」が作られる。その負圧を貯めておき、ブレーキペダルを踏んだ時にペダルが奥に吸い込まれるような形で補助を行うというもの。

レンジローバー_ブレーキレンジローバー_アキュームレーター
写真は2ndレンジローバーのエンジンルーム。2ndレンジローバーの倍力装置は電動モーターによるもの。ブレーキペダルを踏むと電動でポンプが回転し、回路内のブレーキフルードに圧力をかける。その圧力を利用して強い踏力を発生させる。基本構造としてはこのようなものだが、現実的にはブレーキを踏んだ最初の一回は電動ポンプで汲まれた圧力がほんの一瞬追いつかない可能性がある。そのために絶えず圧力を貯めておく必要がある。その役割を担う部品がアキュームレーター。黒い球状のパーツがそれ。
この中は高圧ガス室とフルード室に分けられており、ダイヤフラムで仕切られている。片側には高圧のガス、もう片側にポンプで組まれたフルードが汲み込まれ、圧力の「掛け合い」を行っている。そうやってポンプが回っていない時でもブレーキ何回か分の圧力が絶えず貯められていというわけ。

このアキュームレーターの機能が低下してくると、貯められる圧力がブレーキ4回分から3回分、そして2回分と徐々に低下してくる。やがては貯められる機能がなくなり、ブレーキの補助はポンプが回っている時だけに頼ることになるわけだが、例えば朝イチの運転し始めの一回目となると圧力が追いつかなくなり、当然ブレーキの効きが悪い。慌ててブレーキを踏み直す頃にようやく液圧が上がってきて無事に止まれるという、ちょっと危険な状態になる。
つまり、このアキュームレーターは消耗品であり、定期的に交換する必要がある。

その交換目安の判別方法を。
運転席に座り、エンジンを掛けずにイグニションON。エンジンルームから聞こえてくる音に注意していると、まずそこでポンプが「ブーン」と音を立てて回る。この音が止まった時、正常な状態ならアキュームレーターにはブレーキ4〜5回分の圧力が貯められている。それを確認するにはブレーキを踏んでみれば良い。ペダルを1回、2回と奥までゆっくり踏んでいく。新品状態なら4回から5回目を踏む頃になると「ブーン」とポンプが回り始める。アキュームレーターの機能が弱ってくると、それが3回目、2回目と下がってくる。2回目でブーンと回り始めるようになったらそろそろ交換時期が近づいているというところ。やがてはブレーキを踏むたびに回り始めるのだが、この状態では先の説明の通り、状況によては圧力が追いつかないことが起きる可能性がある。

安全のため、決して先送りをしてはならない重要なメンテナンス項目である。



ランドローバー_フューエルタンクこれはディスカバリー・シリーズ1のガソリンタンク。ガソリンタンクには通気用のブリーダーパイプが設けられている。給油の際には内部の空気を抜く必要がある。ガソリンが減ってくればその容積分の空気を取り入れなければならない。そして気温の変化にも対応しなければならない。
このタンクの場合、4隅にブリーダーパイプが取り付けられている。車体が傾いた時でも通気が行なえるようにするためだろう。そして、その取り付け部分の劣化によって満タン時にガソリンが漏れ出すことがある。
タンクは樹脂製で、そこに少し違う材質の樹脂リングが溶着されている。そのリングに密着するようにゴム製のO-リングを介してブリーダーのキャップ部分(白い部分)がはめ込まれている。そのどれかが劣化して亀裂が入ることでガソリン漏れの原因になる。ギリギリ満タンにした際に初めて漏れるので、仮に亀裂が入っていても漏れないこともある。ただ、その場合でもほのかにガソリン臭がすることで気がつく場合もある。

レンジローバー_フューエルタンク入ってしまった亀裂は、なかなか修理ではうまく直らない。ほとんどの場合にはガソリンタンクを交換することになる。ディスカバリー・シリーズ1も台数がかなり減っているのでこの作業は久しぶりである。ガソリンタンクを英国から取り寄せたのも久しぶり。すると、その原因となる部分が以前とは異なる形状になっていた。ブリーダーのキャップ部分の構造がシンプルになっている。シンプルになったことで今後は漏れる可能性もかなり少ないだろう。いつのまに変更になったのだろう。もっと早くにそうしてほしかったと残念に思う反面、これだけ台数が減った今頃になっても改良をしてくれたことは素直に喜ばしいこと。20年前のクルマのパーツでも供給終了することなく、こんなふうに改良しながら生産を続けてくれると嬉しい。



レンジローバーは1970年にデビューし、様々な変更はあれどフルモデルチェンジ無しで25年間製造された。日本に正規輸入されるようになったのは1990年で、25年という長い歴史の中では末期の5年間だけなのである。その後1995年に初のフルモデルチェンジを行なった。初代と2代目を区別するために、メーカーは「初代を『クラシック・レンジローバー』、二代目を『NEWレンジローバー』と呼びましょう」とアナウンスした。今日はクラシック・レンジローバーについて。
どのメーカーのクルマもそうだが、20年も経てば技術はめまぐるしく進歩し、多くの装備は電子化された。それに伴い、1990年に正規輸入車として日本に初上陸した時には完全に「超高級車」という立場になっていた。電動スライディングサンルーフ、電動ドアミラー、パワーウィンドウなどなど、当時の国産車では上級グレードのみ、あるいはオプション扱いだった装備は全て標準で装着されていた。そして本皮パワーシートも。当然、私など全く縁のない雲の上の存在だった。
当時のパワーシートはスイッチ操作によってモーターでポジション調整が行なわれる"だけ"のものだったが、1992年には電子制御化されてメモリー機能が増えた。それを制御するコントロールユニットが存在するのだが、そういったものには故障は付きもので、これがまた厄介な壊れ方をすることが多かった。メモリー機能はシート位置と共にドアミラーの角度も記憶されるのだが、それらがハチャメチャな動きとなり、シートは人が乗り込めない位置で固定されてしまったり、ドアミラーは勝手に変な方向を向いてしまったり・・・。
コントロールユニットが故障した場合、電子基盤を専門に扱っている業者に修理依頼をして成功する場合もあるが、それでも解決しないこともある。交換するとなるとパーツ代は20万円以上!それなら「メモリー無しの頃のスイッチ操作で動く"だけ"の仕様で十分」という発想にもなるわけだ。

レンジローバー_シートレンジローバー_ドアミラー
ここはオートクラフト会長の大橋のデスク。まさにその改造を行なっているところである。配線図とにらめっこしながら回路を解析し、アナログの基盤を製作中。これが成功すれば、現在不具合を抱えたまま騙し騙し乗られているユーザーさんにも紹介できる。ただ、問題もある。メモリー付き車とメモリー無し車でドアミラースイッチが異なるのだ。そして既に新品パーツは供給されていない。中古でも何でも良いのでメモリー無し車用のドアミラースイッチを用意する必要がある。見つかったらお宝だ!



オートクラフト_レンジローバー何度も紹介しているが、オートクラフト会長の大橋はウッドが大好きだ。掘り下げれば英国車が好きで、英国車には伝統的にインテリアにはウッドが多様されている。多くは合板に突板が貼り付けられ、クリア塗装で厚い皮膜が作られていて、家具のように高級感がある。ただ、それらは天然木だけに経年でひび割れが発生することが多い。そして大橋は割れたウッドを修理することを得意としている。
この作業の肝心なところは大橋は地元福島にある秘密工場で行なってくる。私は未だにそこへは行ったことがなく、突板の張替え作業のシーンも話しでは聞くことがあるが実際に見たことはない。(だから「秘密」)と言っているのだが・・) おおかたの作業を福島で行なってきて、オートクラフトで最後の仕上げを行なう。塗装エンジニアに任せてクリア塗装をし、最後にこうして磨いて細かな凹凸を均し、艶を出す。私が見るのはその作業ぐらい。

クラシック・レンジローバー_ウッドレンジローバーの場合、1995年までのクラシック・レンジローバーは、内装でウッドに見えるところは全て本物の木が使われている。1995年から2002年までの2ndレンジローバーは一部でウッド柄の樹脂が採用された。そのため割れや変形から開放されたし実際のところリアルウッドと見分けがつかないほど質感は良いが、それでも英国車だけにちょっと寂しさも感じる。2002年以降の3rdレンジローバーはリアルウッドが復活した。しかも、初期モデルから既に10年以上経っているが私はこれまで3rdレンジローバーのウッドの経年による損傷を見たことがない。クラシック・レンジローバー時代は土台となる部分が合板の木材だったが、3rdレンジローバーではアルミが使われている。土台の収縮や変形がないからか、突板が割れながら剥がれてくることがない。とてもクォリティーが高い。この工法でクラシック・レンジローバーのウッドも仕上げられたらと思うのだが、土台をアルミで作ることはコスト的には非常に難しい。ダイキャストでは金型代が莫大になるだろし、削りだしならワンオフで作れるかもしれないが、それでもいったいどれだけの費用が掛かるのか、恐ろしくて見積りするまでもなく諦めている。そういう意味ではやはり木は加工がし易い。大橋が行なっているように地道に修理をし、また何年か後に割れてきた場合には再び修理を繰り返すのが妥当かも。それが「古い英国車を長く乗る」ということなのかもしれない。

ウッドの修理にはとても興味がある。そして、できればその仕事を覚えたい。老後は八ヶ岳山麓に秘密工房を作って木と戯れながら過ごすというのも良いかも!



「やりたいこと」も、「やらなければならないこと」もたくさんある。「やらなければならないこと」、その中でも期限が迫っていることが最優先。期限が遠いものは目途だけはつけておいて、その間に時間ができたら「やりたいこと」を進める。私の生活は日々そんなふうに進んでいる。どちらかというと「やらなければならないこと」のほうが多い。なので「やりたいこと」ができる時はとても楽しい!今日の午後は「やりやいこと」をやった。
マサイ・レッドの整備は、時々手掛けてはしばらく放置しての繰かえし。今日の午後、暗くなるまでの時間にマサイ・レッドの仕上げに取り組んだ。今日行った作業はドアウェザーストリップの交換。ドアを閉めたときにボディーとの隙間をピッチリと閉じるためのシールである。これが弱ったり破れたりすると水や風の侵入の原因となる。そして損傷がひどくなると見栄えも良くない。
このパーツはもう何年か前にメーカーからの供給が終了している。もう3年ほど前になるが、同様のものを作ってもれる工場を探し、クラシック・レンジローバーに合うように制作してもらった。「型」を作る関係上、この種のものはまとまった数を作らないと採算が合わない。もちろん、たくさん作ったところで売れてくれないと困る。そのバランスがとても難しい・・・。
クラシック・レンジローバーそれはともかく、今日は酷く痛んでしまっていたマサイ・レッドのドアウェザーストリップを交換した。乗り降りの多い運転席が特に酷い。これでは機能以前にとても痛々しい。こういったボディーパーツは他車からの流用ができないので新品パーツの供給が止まってしまうととても苦しい。中古パーツを探したところで同じように経年劣化しているものがほとんど。
クラシック_レンジローバーこちらが交換後。しなやかなゴムはぷっくりと膨らんでいて、ドアを閉めるとパクっと音がしてその密閉性を感じるほど。なによりも見栄えが気持ちがよい!
交換はスカッフプレートを取り外せばあとは素手で簡単に行える。使う工具はスカッフプレート脱着のためのポジドライブのドライバー一本。4ドア分全てを交換しても小一時間で作業は完了する。
レンジローバーちなみに、奥が車体から取り外したもの。およそ20年間、ドアとボディーに挟まれ続けてすっかり潰れてしまっている。手前は新品。その違いは一目瞭然。




スライディングサンルーフの構造は一般的にはよく似ており、多くの場合には雨樋が付いている。今回はクラシック・レンジローバーで紹介するが他のランドローバーや他メーカーの車種でも参考にしていただけると思う。

サンルーフが閉まっている場合でもルーフパネルには完全に密着しておらず、厳密には若干の隙間が空いている。僅かな隙間なので多量の雨水が流れ込むことはないが、それでもジワジワと沁み入ってくるのは想定内のこと。そこで、その下側、サンルーフパネルとルーフパネルの隙間に沿うように雨樋が設けられている。雨樋に垂れた雨水はチューブを通って排水される。車両の傾きなどで樋が溢れないように、排水チューブは四角に設けられている。
レンジローバーサンルーフ
写真はサンルーフの右前部分。直径7〜8mmほどの穴が確認できる。その先はAピラーの中を通るチューブに繋がっており、チューブの出口はフロントフェンダー内にある。
レンジローバーサンルーフチューブ

決して細いチューブではないが、それでも長年の間のゴミが蓄積することで雨水の通りが悪くなり、結果として排水しきれなくなった水が頭上から落ちてくることもある。そんな時はこのチューブ内を掃除することで解決する。プシューっと圧縮エアを送ったり、ワイヤーを通したりし、最終的にはチョロチョロと水を流して確認をする。
サンルーフからの雨漏れは大掛かりな修理を要する故障よりも、意外にこんな些細なことが原因だったりする。



レンジローバー_フロントガラス半分しか効かなくなったバハマ号のフロント熱線入りガラス、今日、自動車ガラス業者に協力を願って原因究明を行った。電源回路は大丈夫、アースも取れている。残りはガラス本体。そこでまず車体からフロントガラスを取り外した。見れば構造はとてもシンプルであることが分かる。合わせガラスの間を細い熱線が縦に通り、その上下に電源供給とアースのためにアルミ箔と思えるほど薄い金属板が重ねられている。その金属板はガラスの側面を回り込んでガラスの室内側に貼り付けられた端子に接続されているのだが、今回はその回り込んだ部分で断線していた。合わせガラスの内部だったらお手上げだが、まだ成す術はある。
レンジローバー_熱線ガラス断線している部分と同様に薄い金属板をガラスの間に差し込み、側面を回り込ませて端子に半田付けを行った。半田付けを行った部分は良いのだが、合わせガラスの間に差し込んだだけの部分の接触具合いが心配。ちゃんと導通してくれるだろうか。
サーキットテスターで導通試験を行ったのだが、正常である左側よりも若干だが抵抗値が高い。厳密には僅かに通電不良を起こしていることにはなるが、おおまか導通は確保されている。現状ではこれ以上対処の方法は思い浮かばない。とりあえずフロントガラスを車体に組み付け、しばらく作動状況を注意深く見ていこう。左右で曇り取り機能に若干の差が出るかもしれない。その若干の差が気になるレベルではないことを祈ろう。接触不良の部分が過熱し、更に抵抗値が上がったとしても最悪の場合でもフューズが切れて回路を保護してくれるはず。そうなったらまた次の手を考えよう。

パーツの入手が困難だったり、あるいは以上に高騰していたり、故障が起きてへこたれてしまう要因はどんどん増えていくが、できる限りクラシック・レンジローバー本来の機能が全て働くように諦めずに頑張っていこう!



今日の名古屋は、午後から猛烈な雷雨に見舞われた。雨が降る時間が短かったのが幸いだったが、これが長引けが災害につながりかねないと、そう心配するほどもの凄い雨足だった。今日は9月11日。そういえば2000年の東海豪雨も9月11日だった。レイブリックのお客さまの中にも家やクルマが冠水してしまった方が何人かいらっしゃった。私の記憶の中では、自分が経験した最大の自然の猛威だった。
レンジローバーそんな雨のせいもあっただろうが、夜には気温がぐっと下がった。仕事を終え、バハマ号に乗り込むと、室内外の温度差と湿気のせいでウインドウの外が真っ白に曇った。ワイパーを動かせば良いのだが、私はこの機会にクルマの機能の点検を行うことにした。バハマ号は1991年モデル。レンジローバーはこの時代から曇り止めのためにフロントウインドウに熱線が入っている。滅多に使うことはないが、それゆえにこれまできちんと作動するかどうか試す機会がなかった。
さて、結果は。こうも見事にこのタイミングで不具合が確認できてしまうものかと驚いた。右側半分が効いていない。回路は左右で独立しているのでこういう結果になるのだが、さて、原因がガラスに至るまでの配線なら良いのだが、ガラス内だと手の施しようがない。また時間を作って診断しよう。
まあ、次から次と手のかかるレンジローバー達である・・・。



クーラーが効かなくなったクラシック・レンジローバーが入庫した。
事実だから言ってしまうが、1993年までのクラシック・レンジローバーのクーラーの故障は決して珍しいことではない。最近でこそクラシック・レンジローバーの取り扱い台数が減ってきたものの、全盛期には「ハイ、お次の方どうぞ〜」と言っても過言ではないほどで、ハイシーズンになると一日に何台も入庫したものだった。私自身も運転中に何度も辛い思いをした。東京から名古屋までクーラーが効かないまま走ったこともある。万が一にも渋滞に突入してしまったら一大事。パーキングエリアでペットボトルのドリンクを多めに買って水分を切らさないようにして走った。また、凍ったペットボトルも買い、両脇に挟んで暑さを凌いだ。

話は戻るが、珍しいことではないとはいえ、猛暑にクーラーが効かないことは深刻である。さっそく診断に取り掛かった。
お客さまのお申し出どおり、ブロワファンを回しても冷風が出てこない。エンジンルームでチェックとするとコンプレッサーが回っていないことが分かった。コンプレッサーが回らないことで考えられる代表的な原因は、.ーラーガス漏れ 電気回路のトラブル コンプレッサー本体の故障 が挙げられる。それらが複合しているケースもある。
故障の状況や初期診断によって点検の方向性は変わってくるのだが、今回、まず分かったことはコンプレッサーの電源回路のフューズが切れていたこと。フューズが切れる原因は、例えば電気配線がショートしたり、どこか一部が異常な抵抗を持っていることが考えられる。10アンペアのフューズが切れるということは、それ以上の電流が流れたからに他ならない。
本来なら電流値を測ってから次に進むべきだが、我々は故障車から取り外したような中古のフューズを大量に持っている。なので、こういう場合には試しに代わりのフューズを差し込んでみる。そこでもパチンと飛ぶようなら配線のショートを疑いながら診断を開始する。仮に、フューズを交換したところ正常に動いてしまった場合が厄介だ。正常に作動している時に異常を発見することは、まさに雲を掴むような話になるわけだ。そして、現実にはそういうケースが非常に多い・・・。今回もそうだった。フューズを代えたらクーラーは正常に作動してしまった。何か突発的なトラブルが起きてフューズが飛ぶ、その突発的なことが主原因であって、突発的だけにいつどんなタイミングで起きるか分からない・・・。
ただ、今回はかすかに異常を感じていた。それは臭いだった。エンジンルームから僅かだが焦げくさい臭いがしていた。可能な範囲で鼻を近づけて調べてみた。もちろんそれがクーラーのコンプレッサーだったら一気に結論に近づく。しかし、決め手に掛けた。
レンジローバーそのままクーラーを掛けながら各部の点検を続けていたら、突然コンプレッサーが止まった。見れば再びフューズが切れていた。そして、臭いも強く感じられるようになっており、コンプレッサーに鼻を近づけるとそこが原因であることは明らかだった。コンプレッサー内部に不具合があり、抵抗になって電流値が上がっているようだ。症状が出てくれてよかった。電流値を測定したら16アンペアだった。フューズが切れるはずだ。

今日分かったことはここまで。まずはコンプレッサー交換の必要がある。

クーラーは無くては困るものだが、個人的にはクーラーを点けずに窓を開けて気持ちよくドライブできる季節が好きだ。早く本格的な秋が来ないかなあ!



レンジローバークラシック・レンジローバーは「スウィベル」と呼ばれるステアリングシステムが使われている。当時のランドローバー車のラインアップはディフェンダーとディスカバリーの三車種で、ホイールベースこそ異なれど、サスペンションやブレーキ、ステアリング関係は同様の構造がとられていた。各車のセッティングによって全く同一のパーツが使われているわけではなかったが、それでも基本構造はほぼ同じだった。このスウィベルもそうで、1970年にクラシック・レンジローバーが登場するより以前にディフェンダーの前身のランドローバー・シリーズ時代から踏襲されてきた構造である。
このドーム型をしたハウジングの上下にスウィベル・ピンというパーツがあり、それがステアリングを左右に切る場合の軸となる。また、このハウジングのことをスウィベル・ハウジングと呼ぶ。
スウィベル・ハウジング内にはドライブシャフトから繋がるCVジョイント(等速ジョイント)が収まり、オイルで潤滑されている。従ってオイル交換も必要になるので、スウィベル・ハウジングにはフィラー(注入口)とドレン(排出口)の各プラグが存在する。例えば車検の際などにそういったメンテナンスを行うのだが、粘性の高いオイルが劣化して更に固くなり、通常、プラグを抜いてもなかなか落ちてこない。仕方ないのでそのまま翌日まで放置をするような格好で仕事の段取りを組み立てるわけだ。
スウィベルピン・ハウジングもオイルが入っている以上はオイルシールの劣化などによってオイル漏れが発生する。その延長線上で大きなトラブルに発生することもあった。スウィベルピン・ハウジング内には片側で約370mlのオイルが入っている。それほど多い量ではない。そのオイルが漏れ始めたときに対処をすれば良いのだが、完全に漏れ切ってしまうまで放置される例も少なくなかった。絶対量が少ないだけに、「漏れていたけど、最近は気にならなくなったなあ」とやり過ごしてしまうのだ。つまり漏れ切ってオイルが空っぽになるわけで、やがてはCVジョイントが焼きつき、バラバラに砕けてしまうのだ。
スウィベルの構造を理解していない整備工場で車検を行なえば、4年6年とメンテナンスが行なわれずに過ぎることもあり、そういった重大トラブルに繋がる例も少なくなかった。

スウィベル・オイルは、1997年ごろからグリスに代わった。その時代にはクラシック・レンジローバーは生産が終了していたが、ディスカバリー・シリーズ1やディフェンダーはまだ現役だった。スウィベルピン・ハウジングからドレン・プラグが消え、グリスを注入するためのフィラーだけが残った。それと同時に、それまでオイルを使っていた過去の車両も、我々は随時グリスに交換していった。
オイルじゃないと逆にメンテナスがし難いという理由でグリスにすることを拒むオーナーも居たが、そういう意味では確かに一長一短あるのかもしれない。しっかり時間を掛け、古いオイルを抜いて新しいオイルを規定量注入する。それはそれは気持ちよい。そうやってご自身で定期的にメンテナンスをすることで、良いコンディションを保っているのだという実感があるのは確か。仮に分解する際にも、グリスよりオイルの方が取り扱いがずいぶん楽である。
ただ、グリスにすることで、オイルのように漏れることは少なくなり、CVジョイントのトラブルも格段に減ったのは事実。したがって、現在ではグリスでの潤滑が常套手段となっている。オイルシールに亀裂が入るなどしてグリスが一気に飛び出すなど、例外的なトラブルを除けば、スウィベルはメンテナンスフリーとなるわけである。



たとえ気温が高くてもいつもは海風が程よく吹いてくるオートクラフトだが、今日はとにかく蒸し暑い。気温は高くないが、なにせ湿度が高い。そしてこんな気候だからこそ発生する事例もある。

加速不良の症状で入庫したのはクラシック・レンジローバー。8気筒がバランス良く燃焼していないようで、エンジンを吹かすと「ドドドド・・・」と不均等な音と振動を発する。湿気、そして燃焼不良とくれば怪しいのはエンジンの二次点火系。その中でも湿気によって火花がリークしやすいのはプラグコード。
本来なら順を追って点検した結果からそこにたどり着くべきだが、経験上、まずはダイレクトに疑ってみる。点検するにもそれほど時間が掛からないから診断そのものが遠回りになることもない。
怪しい怪しいプラグコードの点検だが、ひどいものでは昼間でも目視でリークしたスパークが見える場合がある。もちろんそれほどひどい状態なら火花が飛んだ痕が白く変色していることとでも確認できる。しかし、今回はそこまでひどくはないようだ。では次の手段。ちょっと緊張するが、プラグコードをあちこち触ってみる。こんなふうに湿気が多いときにはリークした電流が手に"ビリビリッ"とくるものなのだ。どりちらにしても、エンジンを掛けたままプラグコートを1気筒づつ順番に抜いていく「パワーバランス」という点検は必要なのでプラグコードは触ることになる。
そして、"ビリッ"ときた!更にそのプラグコートをスパークプラグから抜いた。行き場を失った火花は、雷雲の中の稲妻のごとく最も近いアースを探して湿気を含んだ空気中を飛びまくる。怪しい箇所を金属部分に近づけてみると、パチパチと激しくスパークした。やはりプラグコードの皮膜の劣化が原因だったようだ。
あとは消耗品でもあるスパークプラグや、ディストリビューターのギャップやローター、イグニションコイルのチェックへと進むのだが、今日は時間の関係でここまで。
レンジローバー_エンジン不調レンジローバー_プラグコード

ところで、このビリビリ点検、臆病な私は実はとても苦手なのである。汗 



バハマ号のクーラーは、やはりどこかからガス漏れをしているようだ。東京から帰って久しぶりにバハマ号に乗ったのだが、明らかにクーラーの効きが悪い。まず、エンジンルーム内の各部を点検。コンプレッサー、レシーバータンク、コンデンサー、それらを継なぐホース、そして各ジョイント部分。しかし、異常が見当たらない。そうなるといよいよ室内か・・・。
レンジローバークラシック・レンジローバーのクーラーユニットは助手席のダッシュボード下部にある。助手席の足元からダッシュボード裏側にガス漏れ検知器のプローブを差し込んだところ明らかな異常を示した。目に見えない奥の方に原因があるようだが、原因箇所がここまで限定されればもはや躊躇する必要はない。さっそく分解した。

レンジローバー_クーラー漏れの原因は二箇所あった。高圧側のホースの加締め部分。もう一箇所はエバポレーターと低圧ホースのジョイント部分。ホースは専門の業者に同じ形状のものを作ってもらう。ジョイント部分に関しては間に入っているO-リングを交換することで直るかもしれないが、ここまで分解したからには今後のために低圧ホースも新調することにした。

昨年からくすぶっていたガス漏れ問題もようやく終結しそうだ。これで快適な夏が迎えられそうで一安心。



レンジローバーマサイ・レッド(Masai Red)、1970年のクラシック・レンジローバー誕生の時から1985年までに存在した純正カラーである。この車両は1993年モデル。元はアーデネス・グリーンなのだが、マサイ・レッドに全塗装されている。どこかの時点でその時のオーナーの、あるいは製作したショップの意向でこの色に変更されたのだろう。
クラシック・レンジローバーの原点ともいえるような、こういうなんとも古めかしいカラーが私は好きだ。縁があってレイブリックに中古車として入庫したのだが、ただの一台とは違う何か別の「思い」が沸いてくる。
レンジローバー・クラシック現在のコンディションは決して良いとは言えないが、コツコツと仕上げていこうと思う。エンジンルームを見ただけでもメンテナンスが必要と思われる箇所が多数ある。ボディーや内装も、細かなところを挙げればキリがない。フルレストアをするわけではないので新車のように復元するのは無理だが、せめて20年経ったクルマだと思えないほどのオーラを感じるようにはしてあげたい。

ところで、マサイの何がレッドなのか?インターネットで検索するとその答えは明らかだった。ちょっと鳥肌が立ったぞ!



梅雨の合間を縫ってレイブリック構内の草刈りを行った。細かいところは手作業だが、使えるところは草刈機の登場。ホームセンターで燃料となる混合ガソリンを買ってきて給油。スターターの紐を勢いよく引っ張った。プルプルプルプル…、プルプルプルプル…。掛からない。何度引っ張っても掛からない。
ランドローバー加藤ブログエンジンは2サイクル1気筒のとてもシンプルな構造だ。ガソリンエンジンの基本は、「良い圧縮、良い火花、良い今混合気」だ。この草刈機は、おそらくもう10年近く経っているが、それほど稼動させていないのでエンジン本体がイカれて圧縮がなくなっているとは考えにくい。まずはスパークプラグを抜いて焼け具合いを見てみた。特に悪い状態ではない。プラグコードを差し込んでスターターを回して火花を点検すると、ちゃんとパチパチと点火している。火花は問題ない。それなら「燃料」だ。スパークプラグを抜いたときに燃料でベタベタになる、いわゆる「かぶる」という症状にはなっていない。逆に燃料の供給状態が悪いのだろうか。キャブレター内部のどこかに詰まりでもあるのかと思い、とにかく分解してみた。ところが特に悪そうなとこも見当たらず、とりあえず清掃して組みつけた。燃料タンクからキャブレターへのホースが若干いびつに変形しているが、燃料が詰まるほどとは考えにくい。負に落ちないまま一度復元させた。
燃料が薄いのなら空気の吸い込み量を減らしたらどうかと思い、親指でキャブレターのエアインテークを押さえながらスターターの紐を引っ張ってみた。すると、プルンプルン、ブブブブと掛かりそうな気配。もう一度試すと、次は勢いよくエンジンが掛かった。
私もメカニックの端くれとして、たった1気筒のエンジンを掛けられないでは情けない。しかし、決め手がないままエンジンが掛かってしまったことも悔しい。原因はなんだったのだろう?キャブレターの分解清掃が功を奏したのだろうか。とにかく、草刈機のエンジンは掛かり、除草作業は捗った。


もうひとつ、今度は8気筒エンジンについて。中古車として入庫したクラシック・レンジローバーのエンジンの調子が悪かった。8気筒がバランスよく爆発していない感じ。こんな時はパワーバランスといって、1気筒づつ順番に良否判定をしていく。エンジンを掛けた状態でプラグコードを順番に抜いていく。正常に爆破している気筒のプラグコードを抜けばその分パワーの落ち込みが発生して更に調子が悪くなる。逆に、抜いても調子が変わらないならその気筒に原因があることが分かる。更に、プラグコードを半分抜いたときにパチパチとスパークが飛ぶことも確認し、飛んでいないようなら個別に点火系を疑っていく。
レンジローバー今回は4番と6番シリンダーに異常が認められた。そして、ディストリビューターとプラグコードの差込口でスパークが無いことが確認できた。原因はディストリビューター内部の可能性が高い。ディストリビューターキャップを外すと、端子の部分に汚れが付着していた。それらを除去して組み付け、エンジンを始動。エンジンはスムーズさを取り戻した。
ディストリビューターのキャップやローターは消耗品なので、清掃でダメなら即交換。今回は、今のところはまだその段階ではなかった。

こんなふうに、シンプルな構造のエンジンを触るのはとても楽しい。不具合のあることろにきとんと原因がある。草刈機は完全には分からなかったが、不具合箇所に手を加えればダイレクトに結果に反映する。
せめて私が生きている間は、全てのクルマがモーターで走るようにはなってほしくないなあ。



1970年にこの世に登場したクラシック・レンジローバーは、20年後の1990年にようやく日本に正規輸入されるようなった。その後、1995年に二世代目にフルモデルチェンジされるまでの5年間の短い間にもさまざまな変更が加えられた。
まず、その代表的な変更点を整理しておこう。

1990年→1991年・・・サンルーフがスチール製からガラス製に変更、ガソリンタンクがスチール製から樹脂製に変更
1991年→1992年・・・フロントシートヒーター追加
1992年→1993年・・・サスペンションがコイル式からエアサスペンション式に変更
1993年→1994年・・・ダッシュボードの変更に伴いエアバッグの追加、クーラーからエアコンに変更

今日は、1992年から1993年に変更されたサスペンンションシステムについて。
元々コイルサスペンションで設計された車両に対してエアサスペンションが組み込まれることになったので、シャシやホーシングのサスペンションの取り付け部分の構造には全く変更なく、サスペンションだけを変えることで対応されている。つまり、互換性があるわけで、エアサスペンションを取り外してコイルサスペンションを組み込むことは物理的には容易である。エアサスペンションの修理から開放されたいと思うユーザーさんにとっては、この構造はとてもありがたいことである。
日本の法律では、懸架装置を変更する場合には構造変更検査を受けなければならない。例えば、車検のタイミングなどであればそれほど面倒な作業ではないし、無駄なコストの発生も抑えられる。オートクラフトでも、既に何台もの構造変更を行ってきた。現在もその作業を行っている車両が入庫している。
2ndレンジローバー以降、現行レンジローバーに至るまではエアサスペンション車だけが設計されてきたので、それらをコイルサスペンション化するにはセッティング諸々未知数部分が多すぎる。ただ、クラシック・レンジローバーに関しては1992年までのコイルサスペンション時代の走行性能は確約されるわけなので、個人的にはそれほど抵抗は感じない。
各年式モデルの特徴はそれぞれあって同時にそれらが魅力でもある。オーナーの拘りもあるだろう。オリジナルの状態を存続させることは大賛成だが、例えばエアサスが壊れて高額の修理代が掛かるからクラシック・レンジローバーに乗ることを諦めてしまうというのなら、たとえ構造を変更してでも一台でも多くのクラシック・レンジローバーに残っていてほしいと思う。
レンジローバー_コイルサスペンションレンジローバー_エアサスペンション



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