LAND COMFORT 加藤ブログ

ランドローバーを運転していると時間がゆっくり流れているように感じます。

ランドローバーを運転すること、ランドローバーのある生活、ランドローバーと過ごす時間、それらは全てとても心地良いこと。
「LAND COMFORT」とは、そんなことを考えながら出来上がった言葉です。

カテゴリ: 納車前の点検整備

レンジローバー
この3rdレンジローバーは2006年モデル。ご契約いただき、整備を施したうえで間もなくご納車予定の車両である。
走行距離は約100,000km。一年間の平均走行距離は10,000kmであり、おおよそ標準的なレベルといえる。日本では10万キロは「ハードル」のように表現されることもあるが、英国車には「10万キロだから」という概念はない。なぜなら、英国車は本国ではマイル表示だから。日本仕様のレンジローバーのオドメーターが、これ見よがしに「100,000km」を示したとしても、本国仕様車では「62,150mile」であり、何ら気にする数字ではない。さすがに「100,000mile」になると、「Just!」などとSNSでアップする人もいるかも!10マイル=約16万キロである。

さて、この62,000マイルのレンジローバーの納車前整備の主な内容は以下のとおり。

【油脂類】
・エンジンオイル&オイルフィルター交換
・ATF交換
・前後デファレンシャルオイル交換
・トランスファオイル交換
・ブレーキフルード交換

【足回り関係】
・フロントサスペンションロワアームブッシュ左右交換
・リヤナックル上下ブッシュ左右交換
・左フロントショックアブソーバー交換
・上記に伴う4輪アライメント調整

【エンジン関係】
・エアフィルター交換
・ファンベルト交換
・バッテリー交換
・エアフロセンサー交換

【ボディー電装関係】
・前後ワイパーブレード交換
・ポーレンフィルター交換
・ボンネットダンパー左右交換
・エアコンドライヤー交換

ご納車後1年&1万キロ走行を見据えた観点で点検をし、その結果NGと判断した部位については調整や修理、またはパーツ交換するのだが、レイブリックではそれらの整備費用は車両本体に含んでいる。メカニックがどれだけ不具合箇所を見つけ、改善しても追加費用は掛からない。余分に頂くのはそのためのお時間だけである。
レンジローバー

レンジローバー_ブレーキ
写真は3rdレンジローバーのフロントブレーキパッド。交換時期である。同様の形状のものが左右内外あり、合計4枚で構成されている。そのうちの一枚に残量センサーが取り付けられている。残量センサーは樹脂製で、内部に配線が通されている。ブレーキパッドが減っていくとセンサーの樹脂部分から削れ始め、やがて配線を削り切る。つまり断線するわけで、導通がなくなったことでインストルメント内にパッド残量が少ない旨の警告がされるという仕組み。写真のセンサーも既に削れて断線に至っている。

新品のブレーキパッドはおよそ11mmある。残量センサーは残り3mmぐらいのところで削れる。え、まだ1/4以上残っているじゃないか?!と思われるかもしれないが、そこには安全マージンも含まれている。先ほど言ったように、左右内外の4枚のパッドがあるわけで、それらが必ずしも均等に減るわけではない。それに警告が点いたからといって全てのオーナーがすぐに工場に持ち込めるとも限らない。だから少し早めに知らせるようには考えられている。
また、パッドが減るスピードも均一ではない。新品時にはパッドは分厚い。踏力を加えた場合パッドは発熱するわけだが、分厚いパッド全体で熱を吸収し、また放熱をする。それに対し、薄く減ったブレーキパッドの場合には体積が小さい分、余分に発熱する。発熱が激しければパッドは劣化し、摩耗も早くなる。最初の5mmで2万キロ走れたとしても、残りの5mmでは同じようにはいかない。なのでやはり早めのパッド交換が必要になる。
更にコスト面からすれば、センサーが削れる寸前でパッドを交換した場合センサーを再利用できる可能性もある。パッドを早めに交換することで、センサーのパーツ代が助かるというわけ。ただ、切れていないセンサーだとしても取り外す際に破損してしまうこともあるのでこればかりはやってみないと分からないが・・・。
いずれにしても、ブレーキのことだけに早めの点検整備は不可欠。レイブリックでは納車前点検や車検、定期点検以外の場合でも、例えばオイル交換などクイック整備の入庫車両においてもできる限りブレーキパッド残量を点検し、少ないようであれば交換をお勧めするようにしている。
こちらは新品のパッドとセンサー。
ランドローバー_ブレーキ

走行中にタイヤがパンクし、路肩でスペアタイヤと交換なんて経験、私は32年の運転経験で一度だけある。若い頃だったし小型の乗用車でのことなで作業もそれほど大変ではなかった。もしこれがランドローバーの重いタイヤとなると、経験されたお客さまの話も何度か聞いたことがあるが、それはそれは大変なことだろう。しかし、パンクしてしまった以上、ロードサービスを呼ぶか、それでもダメなら自分でトライするしかない。
もしもその時にスペアタイヤに十分のエアが入っていなかったなら、弱り目に祟り目・・・、いや、もう投げ出したくなるほど最悪の事態だろう。
そんなことにならないように、レイブリックでは納車前整備をはじめ、各点検時にはスペアタイヤの状態もチェックしている。法定点検のチェック項目にも入っているので当然といえば当然なのであるが、現実には納車前の点検などでチェックした際に、どう見ても空気圧調整がされないまま放置されていたであろうタイヤに出会うこともある。ひどいものでは、つい最近車検を受けたばかりの車両であるにも関わらず規定よりもずいぶん低い空気圧のままだったり・・・。
レンジローバー_スペアタイヤ
写真は3rdレンジローバー。ラゲッジルームの床を持ち上げるとスペアタイヤが現れる。キャンプ道具など、荷物が満載の場合には一度全て下ろす必要がある。また、バルブ位置が奥のほうにあると手が届きにくいのだが、厄介なことといえばそれぐらい。2ndレンジローバーの場合には裏向きに収納されているため、スペアタイヤを一度車両から下ろさないと空気圧の点検調整は不可能。その重さゆえ、私のような腰痛持ちの老体にとってはかなり気合いが要る作業である・・・。

2006年モデル、レンジローバー・スーパーチャージド、現在の走行距離は72,500km。オートクラフトでご成約していただいたお客さまに近々ご納車予定のこの車両だが、今日はその整備内容について。

レンジローバー

実はこの車両、整備に先駆けた点検の結果、我々が手を加えなければならない箇所はとても少なかった。前オーナーの維持管理がとてもよかったことが窺える。その理由を紐解くべく、点検整備記録簿を確認してみた。
直近の記録は今年の3月に正規ランドローバーディーラーで行なわれた12ヶ月点検、当時の走行距離はおよそ66,000km。
その時の点検で交換された代表的なパーツは以下のとおり。

・フロントブレーキディスク
・リヤブレーキパッド
・エアクリーナーエレメント
・花粉フィルター
・エンジンオイル
・オイルフェルター
・ATF
・ATオイルパンガスケット
・プライマリ(スーパーチャージド)ドライブベルト
・セカンダリ(補機)ドライブベルト

特に大掛かりな修理パーツなどが使われていないところを見ると、特段クルマに不調を抱えていたわけではなく、通常ルーティーンの点検だったと思われる。以来、およそ半年で6,500kmという使用期間である。

自動車の代替にはオーナーさまごとに様々な「きっかけ」がある。例えば、トラブルが続いたことで心が折れてしまったり、修理費がびっくりするような大きな金額だったり。中には出先でパンクをしたりバッテリーが上がったことで、「もう、この際クルマごと替えてしまうか!」などという勢いがある方もいらっしゃる。
そんなふうに事の大小は問わずクルマに「きっかけ」がある場合もあれば、純粋に次に欲しいクルマが出てくる場合もあるだろう。あるいは、法人の決算の関係上、急に代替をすることになったとか。はたまた、製造に何ヶ月も掛かるような特別仕様のレンジローバーをオーダーしていて、そのクルマがこのタイミングで届けられることになった"だけ"かもしれない。
いずれにしても、このレンジローバーは直前まで普通に調子よく乗られていたであろうことが推測されるわけで、整備をする立場としても、これからお客さまにお届けする立場としてもとても安心できるケースである。


ちなみに、今回オートクラフトで行なった整備での交換パーツには、つい6,500km前に交換した消耗品類も含まれる。我々の納車整備の基準は、1年または1万キロ以内に消耗品類の交換時期が巡ってこないようにという目安を設けている。例えば今はまだキレイな花粉フィルターも、1万キロ後を見越せばこのタイミングでの交換が妥当となる。
主な交換パーツは以下のとおり。

・エンジンオイル
・オイルフィルター
・花粉フィルター
・トランファーオイル
・前後デファレンシャルオイル
・ラジエタークーラント
・ブレーキフルード
・前後ワイパーブレード
・リモコンキーバッテリー

今回も特に気になることはなかった。
このまま好調が維持され、良い循環が続きますように!

年月が経ち、走行距離が延びる。それらはどんなクルマでも同じことで絶対に遡ることはない。しかし、新車の艶とは異なる、年月を重ねたからこそ感じる輝きを表現することは可能である。この2ndレンジローバーのオーナーもそれを求めた。
これまで整備を依頼していたサービス工場からは、ものすごく手が掛かるからそろそろこのクルマを諦めたほうがというようなことを匂わせるよな提案もされた。しかし、手が掛かるならむしろしっかり手を掛け、今までにない輝きを与えてやろうとオーナーは考えた。レイブリックはその想いを引き受けた。レイブリックが一台の商品車を仕上げるように、更にそこにオーナーのご意向を盛り込む形でこのプロジェクトはスタートした。
先に結果をいうと、それはそれは大がかりな作業だった。レイブリックが通常の商品車を仕上げる以上に作業のボリュームがあったし、なによりもオーナーカーであるという緊張感が絶えず伴っていた。


そうやって共に腹をくくって取りかかったリフレッシュ作業の内容は以下のとおり。

【エンジン関係】
・左右シリンダーヘッド脱着ガスケット交換
・エンジンオイル、オイルフィルター交換
・スパークプラグ8本交換
・プラグコード2本(1番、6番)交換
・ウォーターポンプ交換
・バッテリー交換
・スロットルボディークーラント漏れ修理

【ブレーキ関係】
・前後ブレーキディスク、ブレーキパッド交換
・ブレーキブースターユニット交換
・ABSアキュムレーター交換
・センターブレーキ(パーキングブレーキ)オーバーホール
・ブレーキフルード交換

【シャシ・ステアリング・アクスル関係】
・前後デファレンシャルオイル交換
・トランスファーオイル交換
・ATF交換
・A/Tストレーナー交換
・ナックルアームボールジョイント全数交換
・ステアリングトラックロッド交換

【エアコン関係】
・ヒーターコア部クーラーント漏れ修理
・エアコンパネル液晶文字欠け修理
・ポーレンフィルター交換

【ボディー・電装関係】
・クルーズコントロールホース交換
・クルーズコントロールブレーキスイッチ交換
・右フォフランプバルブ交換
・左フォグランプレンズ割れ交換
・ルームランプバルブ交換
・ライセンスランプユニット交換
・フロントワイパーブレード左右交換
・リヤゲートダンパー左右交換
・ルーフヘッドライニング張り替え
・フロントドアラッチ交換
・ボンネットおよびルーフ塗装
・その他ボディー磨き
・ラジエターグリル塗装

【カスタマイズ】
・オートバイオグラフィー用インテリアウッドに交換
 (主にユーズドパーツを使用し、ウッドの割れなどは全て補修)
・ステアリングホイール、シフトノブ、サイドブレーキレバーをベージュレザーに張り替え
・5スポーク18インチアルミホイール&ヨコハマジオランダーIT/S 255/55R18


そして長期間に及ぶ作業が完了し、今日、オーナーさまへのお引渡しを終えた。ボディーの塗装も施したし、インテリアにもかなり手を加えた。そしてエンジンやブレーキなど、ドライブフィーリングに関わる整備もしっかり行った。多くの面で今回のリフレッシュの効果を感じていただけると思う。
オーナーさまは更に長い年月をこのレンジローバーと共に過ごしていくことをイメージされて今回の大掛かりなリフレッシュに臨んだ。そして、この一台にはレイブリックの経験と技術が一気に注ぎこまれた感覚が我々にもある。それを実感していただけたらとても嬉しい。

レンジローバー_リフレッシュ

レンジローバー_メンテナンス

レンジローバー_ビスポーク

今回はディフェンダーを取り上げるが、ランドローバーに限らず自動車エンジンの多くは以下と同様の構造である。エンジンブロックは鋳造製で、砂型を使って融けた金属を流し込んで形成される。型は、外枠や内枠など、いくつかのブロックに分かれており、流し込まれた金属が固まったあとに砂を崩して取り去るという製造工程。エンジンの場合には、その内側の型を抜き取るための穴があり、その穴は金属製の蓋で閉じられる。その穴は俗に「砂抜き穴」、蓋は「砂抜きプラグ」と呼ばれる。

ディデンダー_エンジンここはオートクラフトのピット内。お客さまにご契約していただいたディフェンダーを、その納車に向けて整備を進めているのだが、点検の過程で冷却水漏れが見つかった。漏れの箇所はエンジンとオートマチックトランスミッション(A/T)の隙間から。ここから漏れるということは、エンジンの後ろ側にある「砂抜き穴」周辺が考えられる。金属製の蓋が錆びによって腐食をし、そこから圧力が掛かった冷却水が漏れ始めるという現象だ。これを修理するためには、エンジンとA/Tを切り離る必要がある。今回はエンジンを下ろし、クーラント漏れを確認し、砂抜きプラグを交換するという工程。
ランドローバー_エンジン私が目を離しているうちに作業は進み、腐食して漏れが発生しているプラグは既にきれに取り外されていた。しかし、ブロックにはクーラントが漏れて伝った跡が残っているはこの写真で確認していただけるだろう。この後、新品のプラグを打ち込んで再びエンジンを載せる作業に入る。

我々のスタンスでは、納車整備に掛かった費用は車両代に含んでいるのでお客さまのご負担にはならない。いただくのは、この作業によってやむを得ずご納車が遅れてしまう「時間」だけ。その分、安心して乗っていただけるクルマに仕上げてお届けできることをお伝えし、さっそく作業に取り掛かった。
お客さま、今しばらくお待ちください。

昨年の秋のこと。電話をとると、それは初めて電話を掛けてくださった関西にお住まいの方からの問い合わせだった。2ndレンジローバーのメンテナンスに関する内容だったのだが、ご自身の愛車も例えば加藤ブログの記事になっているような整備をレイブリックで引き受けてくれるものかどうか、と。偶然だが、私が電話に出られてよかったと思った。
お客さまのレンジローバーは2001年モデル。2ndレンジローバーの最終モデルだが、その時既に12年が経過していた。走行距離は10万キロを超えている。しかし、とても気に入っているので別のクルマに乗り替えるつもりはない。それなら思い切ってコストを掛け、内装外装そして機関部分をリフレッシュして再スタートを切るのはどうかという発想。例えば、レイブリックが一台の商品車を仕上げるように、そういう観点で手を加えてほしいというご要望である。
それから、愛車の現状についていろいろ話をした。現在抱えている不具合箇所や過去の整備歴、今後長く乗るために手を加えておいたほうが良さそうな部分などなど。それによって大まかな予算の打ち合わせをし、徐々に現実的になっていった。しかし、実際にはクルマを点検し、早急にやっておいたほうが良い箇所から順に優先順位をつける必要がある。例えば、見栄えの部分を優先して機関部分に不安を残したのではクルマとしては本末転倒。そんな話もしながら、ご入庫に向けての日程調整に至った。
打ち合わせをした作業のボリュームからすると、取り掛かればきっと数ヶ月は掛かる。ピットの状況を踏まえると、仕事が忙しくなる年末にかけてお預かりしてもきっと手を掛けられない期間が長くなる。そこで、数ヶ月先の予定になるが、年明けからのほうがスムーズにいくだろうということで時期を調整させていただいたのだった。

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2ndレンジローバーそんなことで、一月になってから入庫していただき、その後各部の点検を行った。そして見積もりをして優先順位を決め、まずは絶対に押さえておきたい機関部分から取り掛かった。ブレーキやステアリング、エンジンの整備、デファレンシャルやトランスファーなど駆動系の油脂を含む消耗品類の交換。そして当初から気になっていた不具合箇所であるドアラッチの交換や、エアコンの液晶パネルの修理などなど。現在はこれらの作業を進めているのだが、それらが済んだら次に内装外装を手がける予定。

もう少し作業期間は掛かりそうだが、全てが完成してお引渡しの際には、それがもちろんご自身の愛車でありながら、それでも明らかに生まれ変わったような、そんなフィーリングを味わっていただけたらとても嬉しい。

レイブリックのサービス工場には自動車整備用のリフトが三機ある。作業する人員は三人。それでも更にリフトを増やしてほしい!そう稟議が上がってきた。
一見、現状でも不都合がないように感じるが、実は現場では作業スペースのやりくりに四苦八苦している。例えば、ご契約していただいた中古車の整備に取り掛かるとする。ランドローバーは作業のボリュームが大きい場合が多く、一度リフトに乗せたら何日も掛かることがある。その間にも順次別の作業依頼をいただけるのだが、作業が長引いているクルマをリフトから下ろさないことには次の入庫を誘致できない。
現状では、納車に向けた整備に取り掛かるタイミングが非常に難しく、当然、楽しみに待っていただいているお客さまには更にお待ちいただくことになる。逆に、いざ長時間の整備に取り掛かってしまうと、次のお客さまには入庫を遅らせていただくなど調整をお願いすることになる。これを解消するためには、長期間クルマを上げっぱなしにしておけるリフトが不可欠!という内容の稟議である。
考えてみれば、オートクラフトは4名のエンジニアに対してリフトは5機。更にリジッドラック(馬)を支ってタイヤを外しっぱなしで置いておける屋内スペースもある。レイブリックは敷地面積は広いものの、作業スペースという面ではメカニックはこれまでギリギリのところで踏ん張ってきたわけだ。

レイブリック_ランドローバーでは、実際に作業スペースを増やすとなると、現実的なのは現在倉庫として使っている場所だろう。タイヤやホイールなど大物パーツをストックしている場所である。空いたスペースはボディー磨きなどの軽作業にも使っている。現在の倉庫は、なまじ広いスペースがあるので物が乱雑に置かれてしまっている。しかし、レイアウト次第ではなんとかなるはず。
作業効率を上げるための、つまりとても前向きなプランである。この稟議に応え、是非ともサービス向上に繋げたい。コストは掛かるが、ここからは私が踏ん張る番だ!

2005年の秋に日本でデビューしたレンジローバー・スポーツ、早いもので既に7年が経過している。ディスカバリー3と合わせ、ランドローバーはこの世代から格段に信頼性が向上した。それまでのランドローバー各車の故障率が高かっただけに余計にそう感じる。
そんなレンジローバー・スポーツだが、発売から何年か経つうちに、傾向的な故障やメンテナンスの傾向が明らかになってきた。我々が経験してきたものの中でその代表的ものを挙げると、,泙困魯侫蹈鵐肇汽好撻鵐轡腑鵑離蹈錺◆璽爛屮奪轡紊梁蚕。⊆,法△海譴皀侫蹈鵐肇汽好撻鵐轡腑鶸愀犬世、スタビライザー周辺のガタ。そしてパーキングブレーキの固着による故障。
△離好織咼薀ぅ供室辺のガタについての補足だが、マイナーチャンジ前(2009年まで)のレンジローバー・スポーツには4.2リッタースーパーチャージドエンジン(390ps)と4.4リッターNAエンジン(299ps)の2種類のパワーユニットがある。4.2スーパーチャージドのほうには油圧をコントロールすることで車体のロールを制御などを行うダイナミックレスポンスという電子制御システムがある。そのアクチュエーターがスタビライザーの中心に設けられているのだが、そのあたりからガタが発生することがある。従って、これは4.4NAモデルには起こらない症状である。

レンジローバースポーツ現在オートクラフトでは2006年モデルのレンジローバー・スポーツHSE(4.4NAモデル)の納車前整備を進めている。点検の結果、この車両も例外ではなく、.蹈錺◆璽爛屮奪轡紊竜砧と、パーキングブレーキの不具合が発生していた。
ロワアームのブッシュは、ロワアームを車体から外して新品のブッシュを打ちかえるよりも、ブッシュを含んだロワアームASSYで交換してしまったほうが作業効率面から考えると安くつく。
そのロワアームASSY交換を含め、この車両の主な交換パーツは以下のとおり。現在の走行距離は43,400km。

・バッテリー
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・デファレンシャルオイル
・トランスファオイル
・クーラント
・リヤブレーキディスク(パーキングブレーキドラム)
・パーキングブレーキシュー
・ブレーキフルード
・フロントサスペンションLHロワアーム

ご契約いただいたお客さまのご要望でこの機会にタイヤも交換した。
完了間近!


レンジローバー整備写真は2ndレンジローバーのエンジン。車検証上のエンジン型式こそことなるが、この頃のランドローバーのガソリンエンジンは構造的にはみなほぼ同じだった。(1998年までの2ndレンジローバー、クラシック・レンジローバー、ディスカバリー・シリーズ1、ディフェンダー)
行なっている作業はインテークマニホールドガスケット交換。元々はオイル漏れの修理から始まった。オイル漏れの原因はロッカーカバーガスケットから。V8エンジンなのでシリンダーヘッドは左右ふたつに分かれている。その左右のロッカーカバーのガスケットを交換するのだが、そこまで分解するともう一段階奥にあるインテークマニホールドにたどり着く。そして、そこにはクーラント漏れのウィークポイントがある。
インテークマニホールドはエンジンシリンダー内に空気を送り込むパイプ部分。クーラント漏れの修理で、吸気に関するガスケットを交換ってどういうこと?実は、インテークマニホールドという部品単位の中にクーラント(冷却水)の水路も作られている。なので、そのガスケットは吸気と共に水路のパッキンを兼ねているのだ。
この頃のローバーエンジンのオイル漏れとクーラント漏れの原因はこのあたりであることが多い。なので車検などまとまった整備を行なう際にはこんなふうにエンジンの上側をごっそり分解することは日常的に行なっている作業である。
ガスケットを交換する際には当り面をキレイにしてから組み付ける。キレイにすると共に、しっかりと平面を出す。そのために、オイルストーン(砥石)を使って磨く。双方をしっかり磨いて平面を整えることでガスケットの密着が良くなり、漏れ再発の防止になる。

最近ではATF(オートマチック・トランス・フルード)の交換は必要ないとされるクルマが増えている。しかし、それはあらゆる機能が正常であリ続けた場合という条件付のことだと私は思う。
例えば3rdレンジローバー、我々がこれまで扱ってきた過去のランドローバーと比較すると幾分A//T(オートマチック・トランスミッション)のトラブルが多いように感じる。実際に10万キロそこそこで滑り始めてしまい、オーバーホールが必要になった車両も数台経験した。しかし、おそらくだが、それは元々の原因は他の部分にあると推測している。例えばエンジンの水温。
過去にも再三3rdレンジローバーのエンジンの水周りトラブルを取り上げてきたが、ラジエターをはじめとする冷却系統がこのクルマのウィークポイントであることは名言できる。水温計では気づかないほど微妙なオーバーヒートが原因でA/Tの油温センサーが異常を感知することもる。若干のオーバーヒートがジャブのように効いてきて、水冷オルタネーターの寿命を早めたりすることもある。推測だが・・・。そして、微妙なオーバーヒートが長年続いた場合、きっとA/Tの温度環境にも悪影響が及んでいると思う。
レンジローバー特に荒っぽい運転をしているわけではないのに、例えば5万キロあたりでATFの状態を点検すると、真っ黒に汚れたクルマとそうではなくまだまだキレイなクルマがある。単にA/Tの寿命の「運」ではなく、他からの影響を受けてしまったかどうかが起因している可能性が考えられる。やはりそれは「熱」の影響が大きいと思う。

レンジローバーATとにかく、3rdレンジローバーの場合にはラジエターの詰まりなどエンジンの水周り系統には慎重になる必要がある。ATFの汚れはそんな要因のサインであることも考えられるし、いずれにしても既に汚れてしまっているATFのまま「無交換」を貫き通す意味はないだろう。
まずは点検を兼ねて適度な距離でATF交換。更に汚れがひどい場合にはストレーナー(フィルター)と一体になったオイルパンも同時交換がお勧め。

クルマを停止させるときにペダルを踏んで使うフットブレーキ、一般的にそのシステムは油圧式である。液体を入れたふたつの注射器を使い、お互いの針の部分をパイプで繋ぐ。油圧式のブレーキシステムを超簡単に説明するとこんな感じ。
片方の注射器を押し込むと、もう一方の注射器のピストンは飛び出してくる。押し込むほうがマスターシリンダーで、押し出されるほうがホイールシリンダー(ブレーキキャリパー)。ブレーキペダルを踏むことでマスターシリンダーのピストンを押が押し込まれる。押し出されるホイールシリンダー側にブレーキパッドがあり、回転しているブレーキディスクに押し付けられてブレーキが効く。
このシステムの媒体となっている液体がブレーキフルード。このブレーキフルードは水溶性で、空気中の水分を徐々に吸収していく。フルード内に水分が混じることで沸点が下がる。沸点が下がればフルード内で蒸気となった気体が泡となって混じり、ブレーキの踏力はその泡によって伝達力が落ちる。つまりこれが劣化なのだが、そのため、ブレーキフルードは定期的に交換が必要になる。だいたいそのサイクルは2〜3年。ちょうど車検ごとということになる。ほとんどの車検工場でお決まりのメニューになっているのは、こんな理由からである。我々の工場でも例外ではなく、車検時にはみなさんにお勧めしている。

ランドローバーレンジローバー
ブレーキフルードの交換は、マスターシリンダー側のリザーバータンクから新しいフルードを注入し、押し出すようにしてブレーキキャリパー側から抜く。ご覧のように新品のフルードは透明だが、キャリパーから抜き取った劣化したフルードは真っ黒に変色している。目に見えない部分の整備ではあるが、これによってブレーキの信頼性は確実に上がる。
私はこの作業が大好きだ。汚れたものを全て排出し、回路内が新鮮なフルードで満たされる。最高に気持ちがいい!

レンジローバーユーズドカーとして入庫したクルマやユーザーさまからメンテナンスでお預りしたクルマ、そのクルマの整備に取り掛かったときに「お、愛されているなあ!」と思う瞬間がある。こんなふうに下回りの整備に取り掛かった場合に多い。例えばデファレンシャルオイルの状態を見たとき。
オートクラフトでは(レイブリックも同様だが)、お客さまにご納車するための整備では、全ての車両において全油脂類の交換を行なう。エンジン、オートマチックトランスミッション、トランスファ、そして前後デファレンシャル等々。写真は、ちょうどクラシック・レンジローバーのフロントデファレンシャルのオイルを抜き取っているところ。
デファレンシャルオイルは元々は飴色をしているのだが、2万キロも走行するとかなり黒ずんでくる。2万キロといえば一般的には車検ごとぐらいの走行ペース。仮にこれを一回パスしてしまえばすぐに4〜5万キロとなる。そうなればオイルは真っ黒で、しかも酷いものではドクドクと塊になって落ちてくるほど劣化していることもある。ただ、この段階では走行フィーリングに異常が感じられることは少ない。
これが更に悪化し、デファレンシャルギヤが壊れて音が出たり最悪のケースではギヤが掛けて走行に支障をきたすことにもなる。ただ、その確率はとても低い。故障に繋がる確率が低いのなら気にすることないじゃないか!と言われてしまえばそれまでだが、デファレンシャルオイルを交換する作業の目的はただオイルをキレイにすることだけではない。
例えば、クラシック・レンジローバーの場合、前後デファレンシャルにはそれぞれおよそ1.7リットルのギヤオイルが入っている。長い年月をかけてじわじわと漏れが発生していて、オイルがかなり少量になっていることもある。少量になれば劣化は更に早まる。実際に、ドレンを開けても粘土状になったものが塊となってコトっと落ちてきただけという経験も少なくない。そんな状態でも壊れずに機能しているランドローバーのデファレンシャルギヤの頑丈さには驚くばかりだが、それでも何年かに一台はギヤがバラバラに砕けてしまったクルマが入庫する。

快適に乗り続けること、故障のリスクを避けること、オイル交換の目的はそんなところだろうが、これを人間の体に置き換えれば、健康に気遣った生活を続けるということである。不摂生を繰り返せばいつか無理がくる。病気になる確率も上がる。人間の身体と違って自然治癒力がない機械の場合にはなおさらである。
目に見えない部分だし、手間を掛けてメンテナンスをしたところで体感できにくい箇所である。しかし、それでもしっかりと手が入れられており、ドレンボルトを抜いたときにそれほど汚れていない飴色のオイルが滑らかに落ちてくる様子を見ると「愛されていたんだなあ!」と安心するのである。

レンジローバー

「1996年モデル レンジローバー/オートバイオグラフィー ブリティッシュレーシング・グリーン」、夏休みを挟みながらとはいえ、二ヶ月の期間を要してようやく完成した。
この車両はお客さま所有のクルマではなく、商品車として仕上げたもの。そのため、特別なカスタマイズを行なわず、あくまでオリジナルスタイルを忠実に再現することに徹した。
走行距離は3万キロにも満たず、中古車ではあるがその使用感は最小限レベルと言えるだろう。作り手としても十分満足できる一台が仕上がった。

外装の塗装の過程は過去ログをご覧いただくとして、機関部分の整備に関しての主だった内容は下記の通り。

《ボディー関係》
・全塗装
・ルーフヘッドライニング張替え

《交換消耗品》
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・デファレンシャルオイル
・トランスファオイル
・クーラント
・ファンベルト
・フューエルフィルター
・ブレーキアキュームレーター
・ブレーキフルード
・ラジエターアッパホース
・ポーレンフィルター
・バッテリー

《不具合箇所の交換部品》
・ベルトテンショナー
・ヒーターコアセンサー
・ヒーターマトリックスO-リング
・ステアリングトラックロッドASSY
・ステアリングドラックリンクASSY
・エアサスペンションバルブブロックO−リング
・エアサスペンションドライブボックス

《その他整備箇所》
・A/Cガスリフレッシュ
・ハザードスイッチ接触不良修理
・リヤルームランプ接触不良修理


消耗品としてワイパーブレードを挙げていないが、これは今後新たなオーナーさまが決まった場合に納車の直前に新品交換する。
この先、このオートバイオグラフィーは一旦愛知県に回送し、レイブリックで展示をする予定。

レンジローバー
2ndレンジローバーオートバイオグラフィーは機関部分の整備に取り掛かった。リフトアップし、タイヤを外して下回りをくまなくチェック。真っ先に目に留まったのはステアリングロッド・ボールジョイントのブーツの損傷。既にグリスは切れており、ボールジョイト部に錆も確認できた。これはブーつだけの交換ではなく、ボールジョイントを含めたロッドASSYで交換することになる。
その他、消耗品類の交換から始まり、現在抱えている不具合箇所の改善も含め、詳細は整理ができたところで改めて紹介しよう。

最近ではほとんどのクルマのヘッドランプのレンズに樹脂が使われるようになった。材料の違いなのか何なのか、理由は分からないが、そのレンズが曇ることがある。曇りは見栄えが悪くなるだけでなく、照度が落ちて運転に支障が出る。あるいは車検にパスできなくなる。
ランドローバー_ディスカバリーそんな場合には磨きで曇りを取る方法もある。今日は数々の名ケミカル品をリリースしており、私も大好きなメーカーである「和光ケミカル」の商品を紹介しよう。
その名も「復元キット」!ヘッドライトの輝きを復元させるという意味だと思う。キットには研磨剤とコーティング剤、そして専用スポンジも付属されている。
まず研磨剤を使って曇りを取り除く。ちなみに、写真のディスカバリー・シリーズ2の場合にはほんの数分で曇りはすっかり取れた。
綺麗にするだけならここまでで充分。ここから先のもうひと捻りが和光ケミカルの拘り。この輝きを長期間保つために表面をコーティングするのだ。これで完璧。見違えるように美しくなった。
Before(ディスカバリー_ヘッドランプ)After(ディスカバリー_ヘッドランプ)


このキット、箱にも書かれている通り「業務用」で、つまり小売りはされていない。おそらく、一般ユーザー向けに発売するには量が多すぎるのだろう。実際に、このひと箱で十数台分はあると思う。
レイブリックでは、現在このキットを商品車や車検の車両に使っている。でも、このサービスだけをご希望される方もいらっしゃるかも?もしご興味がある方はご相談ください。

過去に紹介した方法だがご自宅で手軽にヘッドライト磨きをするこんな方法もある。歯磨き剤に含まれる研磨剤によって意外に綺麗になる。参考までに。



現行のランドローバー各車はともかく、2ndレンジローバー世代の頃までのランドローバーでは、酷いオイル漏れはともかく多少の滲みを完全に止めるのはなかな難しい。もちろん本心としては完全に止めたいのだが、現実問題としてまさにイタチごっこ。ここを直せば、やがてあそこ、あそこを直せば次にこちら・・・。では、一度に怪しいところを全て対処したとしても、それが何万キロもなかなか続かないのが現実。
エンジンオイルだけでも漏れや滲みの可能性を持った部位は何箇所もある。そしてエンジンだけではく、オートマティック・トランスミッション、トランスファー・ギヤボックス、前後アクスルと、挙げれば何十箇所にもなる。多くのユーザーさんの自宅ガレージには、地面に何滴かのオイル染みがある・・・。

ただ、だからと言って全てのオイル滲みを安易に考えて良いわけではない。たとえ少量でも即座に対処したほうが良いこともある。例えば、アクスルハブからのオイル漏れがブレーキディスクに飛び散っている場合、ブレーキの片効きの恐れもあり、フルブレーキングの際に安全に停まれないことも考えられる。また、古い事例では、エンジンのタペットカバーからのオイル漏れが、長い期間かけてエンジンブロックをじわじわと伝ってスターターモーターの中に入り込み、内部がオイルで汚れ、ある日突然エンジンが掛からなくなることもあった。

レンジローバー現在オートクラフトでご納車前の整備を進めている2ndレンジローバーの場合、トランスファーのリヤ側アウトプットシャフトのオイルシール部分からオイルが漏れていた。そこにはパーキングブレーキ機構のセンタードラムがある。放置すると張り付いてパーキングブレーキが解除できなくなったり、さらに酷ければパーキングブレーキの性能が落ちることも考えられる。やはりこれも放っておくことのできないオイル漏れである。写真はその作業シーン。プロペラシャフトとブレーキドラムを取り外し、オイルシールを交換しているところ。修理の効果は永遠ではないので、やがては再び漏れてくるだろう。それでもできるだけ長くこの状態が続きますように。


「これで大丈夫!」と太鼓判を押せない分ちょっとすっきりしないが、こんな日は優しい唄で癒してもらおう。
今夜は、Mr.Childrenの心穏やかなバラード、「口笛」。
ライブでもとても人気の曲で、イントロが始まると歓喜とも溜息ともいえぬ、小さくも大きくもない穏やかな歓声があがる。そして笑顔が広がり、自然に口ずさむ。やがて大合唱となり、その響きで更に心が満たされる。
今夜は、Youtubeで見つけたそんなライブ・ヴァージョンで!


自動車の機械的な故障の多くは、まず音や振動から始まる。今までと違う音、今までと違う振動を感じたら、それが「サイン」なのである。エンジンなどの駆動系やサスペンションなど、回転や摺動をしている部分の異常が音になって耳に届いたなら、まずは点検をしたほうが懸命。「なんだか音はするけど、とりあえず今は動いているからいいや!」などと放置をすると、ある日完全に動かなくなり、それが出先だったり、これからまさに出かけようと思っていた矢先だったりすれば、そのショックは更に大きい・・・。だいたいそんな時、お客さまから「突然動かなくなった」と連絡をいただき、しかしよく聞けば、「少し前から変な音がしていた」ということも多い。音が出始めた時に見せていただいていれば、もちろんそこで修理は必要になるだろうが、肝心なときにクルマで出かけられないという自身の都合の上でのトラブルは防ぐことができる。あるいは、レッカー代など、余分な出費を防ぐこともできる。

レンジローバー現在レイブリックで納車に向けて点検整備中のレンジローバー・ヴォーグのパワーウィンドウからの異音を感じ、点検の結果、音の原因がレギュレーターであることを確認した。ギヤの磨耗が進んでいるようで、上下の際に「カリカリ」と音がする。きっとこのままでは近い将来作動しなくなるだろう。調整や修理で直るものではないので交換することにした。

いくら自動車の電子化が進んでいるとはいえ、メーター内に点灯するインジケーターだけが異常のサインではない。むしろそれ以外の、五感で感じる異変のほうが重要なサインだったりする。

地域性もあると思うが、オートクラフトは名古屋のレイブリックに比べてクラシック・レンジローバーの取扱台数は多い。サービス入庫の台数も、そしてご契約していただける車両の販売台数も。
そういえば、2010年に私がオートクラフトに赴任したときに感じたことは、都内でのディスカバリーの少なさだった。裏返せば、レンジローバーが多いのだ。クラシック・レンジローバーに限らず、東京はランドローバー全体としてのレンジローバーの比率が高いのだろう。今日もオートクラフトの工場内を見渡せば、やはりほとんどがレンジローバーである。

DSC_0377写真は、現在、納車前点検整備の真っ最中のクラシック・レンジローバー。1992年モデルで走行距離は78,000kmと割りに少ない。これまでのオーナーさんの保管状態が良かったようで、塗装の状態も良く、内装ウッド類の変色や痛みも少ない。ルーフヘッドライニング(天張り)はさすがに垂れてきていたのでそれは張替えた。
ご納車に向けて、あとはひたすら整備!であったのだが、それもほぼ終了。主だった交換パーツは以下の通り。大きなところでは、オイル漏れの対処としてエンジンの前後クランクシャフトシールの交換作業が必要だったこと。もちろん、それらの整備費用は全て車両本体価格に含まれているので、整備内容が増えたとしてもそれはコッチ持ち。お客さまのご負担になることはない。ただ、やむを得ずご納車までの時間を少々余分にいただくことになるのだが・・・。


《消耗品関係》
・フロントワイパーブレード(2本)
・リヤワイパーブレード
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・デファレンシャルオイル
・トランスファオイル
・クーラント
・スウィベルハウジンググリス
・Vベルト全数
・フューエルフィルター
・ディストリビューターキャップ
・ディツトリビューターローター
・ブレーキアキュームレーター
・サスペンションショックアブソバー(4本)
・ラジエターホース(2本)
・ヒーターホース(2本)

《オイル漏れなどの対策》
・ロッカーカバーガスケット(2個)
・インテークマニホールドガスケット
・エンジンFRクランクシール
・エンジンRRクランクシール

《その他不具合箇所の交換部品》
・ウォーターポンプ
・ステッパーモーター(ISV)
・エンジンサーモスタット
・マッドフラップ
・クーラーホース

楽しみにしていただいている納車なので、出来るだけスピーディーに!とは心がけているのだが、20年選手のクラシック・レンジローバーともなるとやはり一ヶ月前後かそれ以上の期間が掛かることが多い。
完成までもうひと息!

IMG_5184ラジエター、ホース、ヒーター、ウォーターポンプなど、冷却水の回路からの漏れを点検する場合の方法として圧力テストがある。リザーバータンクにアダプターを付け、ポンプで加圧して放置しておく。正常なら一晩置こうが二晩置こうがゲージの針はピクリとも動かない。しかし、僅かでも漏れがあれば時間の経過とともに大気圧に戻ってしまう。どこから漏れているかは冷却水が垂れた痕跡を目視で探すなどアナログ的な方法となるが、漏れの有無はこの方法でほぼ確実に判る。
今回は漏れが発覚してその診断をしているわけではなく、3rdレンジローバーの納車前の整備でラジエターの詰まりが確認できたので新品交換し、完成検査の一環として圧力テストを行なっている。この状態でメカニックは今日の作業を終了。一晩放置し、明日、ゲージの数値に変化がないことを確認して完了!

IMG_5226ちなみに、車種によってリザーバータンクの形状が異なるのでそのためのアダプターが何種類もある。これだけで代表的な車種はほとんど網羅できる。
余談だが、一般的な国産車はリザーバータンクには圧力はかかっていない。冷却水回路内の負圧によって足りなくなった分だけリザーバータンクから吸い込まれる仕組み。国産車で整備のいろはを覚えた私は、1992年にフォルクスワーゲンで始めて「圧力がかかったリザーバータンク」に出会った。なんでこんな仕組みなんだろう?と不思議に思った。実際に、老化して圧力に耐えられなくなったリザーバータンクからクーラントが漏れることもある。しかし、これが欧州車の常識らしく、その後出会った欧州車は全て同様のシステムである。もちろんランドローバー車もそう。
クーラントの量を点検する際にはくれぐれもご注意を!圧力がかかっているときにキャップを緩めないように。

DSC_3583写真はディフェンダー90のV8ガソリンエンジンだが、クラシック・レンジローバーやディスカバリー・シリーズ1もほぼ同じ構成をしている。写真中央の黒く短いゴムホースはエンジンのインテークマニュホールドからヒーターコアへと続くホース。ホースはただのゴムホースではなく、中にタコ糸のような丈夫な繊維が編みこまれて強度が保たれている。
このヒーターホースだが、断面を良く見るとその繊維が見える。ポチポチと見える緑色のものがそう。分かるかな?これは本来は緑色ではなく白である。ではなぜ緑色になっているのか?これは外からは見えない部分だが、ホースの内側に亀裂が入っている証拠なのである。亀裂から冷却水が染みて色が付いているのだ。この緑はクーラントの色なのである。
外から見る限り、そこまで深刻な状態だとはなかなか気が付かない。この僅かな症状を見逃すことなく見つけられれば、走行中に突然起きてしまうかもしれないトラブルを未然に防ぐことができる。納車整備や車検整備などの点検でこのようなことをひとつでも多く見つけられれば、すなわちそのクルマの信頼性が格段に向上すること間違いなし!集中力、記憶力、応用力、注意力、努力など、それらあらゆる力をランドローバーに向けることが我々の仕事である。

四駆(よんく)というカテゴリーの、原型のひとつでもあるディスカバリー・シリーズ1。そのディテールの多くを残したままフルモデルチェンジを果たしたディスカバリー・シリーズ2は、その程よい無骨さが未だに人気である。
今日もレイブリックではディスカバリー・シリーズ2の納車に向けた整備が進んでいる。構造的には、ディスカバリー・シリーズ1と2ndレンジローバーの中間に位置する感じだろうか。
IMG_5411写真はフロントアクスルのナックル・ボールジョイントを交換し終わったところ。この作業は2ndレンジローバーのそれと非常に良く似ている。キングピンアングルが2ndレンジローバーとは異なり、ボールジョイントを脱着するための専用工具がコイルスプリングに当たってしまう。そのため、そのぶん作業は困難になる。
それは別として、このボールジョイントにガタがあったりブーツが破れていると、当然だが車検に通らない。「ボールジョイントのダストブーツの亀裂・損傷」という点検整備項目をクリアできないのだ。一般的にはサスペンションやステアリング系統のボールジョイントの脱着には、「プーラー」や「ボールジョイント・セパレーター」と呼ばれる汎用工具を使うのだが、ディスカバリー・シリーズ2や2ndレンジローバーの場合には、そのような汎用工具で作業ができた例を我々は知らない。
例えば、専用工具を持っていない整備工場でこれらのランドローバーの車検を行った場合、そしてボールジョイントにダストブーツに亀裂が確認された場合、きちんと交換されているのかどうか?ハッキリ言ってしまえばとても疑問である。更に言ってしまえば、見逃しているとしか思えないクルマも多々見受けられる・・。
ワイパーゴムやエアフィルター、スパークプラグなど、全国どこの整備工場でも交換可能なパーツもあれば、このボールジョイントのようにランドローバーに対する特定の工具が必要になる場合もある。

ボールジョイントに拘った前置きになったが、今回のディスカバリー・シリーズ2(2004年モデル・走行45,000km)の納車整備の主な交換パーツは以下のとおり。


《消耗品関係》
・スパークプラグ(8本)
・フロントワイパーブレード(2本)
・リヤワイパーブレード
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・デファレンシャルオイル
・ドレンボルト(2個)
・トランスファオイル
・クーラント
・ブレーキフルード

《エンジン水廻り関係》
・スロットルヒーター

《足回り関係》
・ナックルボールジョイント/アッパ(2個)
・ナックルボールジョイント/ロワ(2個)
・ドライブシャフトオイルシール(2個)


この車両は今年の1月に車検を受け、その後およそ6,000km走行した状態。車検整備後6,000kmならもしかしたらまだそれほど重い整備は必要ないのかもしれない。しかし、我々はそこに先入観は持たないようにしている。とにかく前から後まで、上から下まで点検をする。その結果、発見された不具合箇所の調整や修理をし、消耗品を含めて必要なパーツ交換をする。

完成までもうひといき!

レンジローバーrangerover現在オートクラフトで納車に向けて整備を進めているクルマは2002年モデルの3rdレンジローバー。新規登録からちょうど10年。距離はおよそ8万キロ。年間8,000km平均、つまり5,000mileである。英国なら十分に「Low Mileage!」と呼ばれる範囲だろう。
それはそれとして、オートクラフトではそれが何万キロとか何年経っているとかいうことは関係ない。とにかく、点検によって現在の状況を把握し、良くない部分と悪くなりそうな部分を改善するのみ!
今回ピックアップされた交換パーツは以下のとおり。10年8万キロという実績からすれば、これだけの整備で済むということはむしろ過去の整備状況が良かったといえるだろう。

《消耗品関係》
・ファンベルト
・エアコンベルト
・スパークプラグ(8本)
・フロントブレーキパッド
・リヤブレーキパッド
・フロントワイパーブレード(2本)
・リヤワイパーブレード
・ヘッドライトワイパー(2本)
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・ATドレンプラグ
・ATフィラープラグ
・デファレンシャルオイル
・ポーレンフィルター
・クーラント
・フューエルフィルター
・ブレーキフルード

《エンジン水廻り対策》
・ラジエターASSY
・ラジエターアッパーホース
・ラジエターロワホース
・その他ウォーターホース(1本)
・ATサーモスタット
・ATサーモスタットパッキン

《エンジンオイル滲み対策》
・タペットカバーガスケット(2個)
・グロメット(24個)


2ndレンジローバーもそうだったが、3rdレンジローバーにも「山」がある。・・ように感じる。ずっと乗り続け、定期的に点検整備をするのだが、ある一定の期間に故障が集中することがある。ファーストオーナーからセカンドオーナー、更に次の方へと渡っていく過程で、運悪く険しい山に当ってしまうケースもある。我々の仕事は、できるだけその山を穏やかにすること。可能な限り納車前の点検整備によってその後のトラブルを最小限なものにしたい。


さて、今夜も引き続き山下達郎さんの曲でいこう。
昨日のブログについて、Facebook上で高校時代の同級生からコメントが届いた。私が通っていた高校は、今思えばとても音楽活動が盛んな学校だった。アマチュアバンドがいくつもあった。2年の時だったかな、近くのホール、おそらく100〜150席ぐらいの会場を7〜8バンドで共同で借りてLIVEをやったこともあった。また、これも2年の時、クラスで楽器をやっている仲間を全員集めてロッケストラを結成したこともあった。ドラム×2、ベース×2、キーボード×2、ギター×5、サックス、ヴォーカルの総勢13人。ちなみに、私はキーボードを担当していた。何曲かやったが、あまりにまとまらずに自然消滅した・・・。
文化祭でもアチコチで音楽が披露された。メーン会場の体育館や、中庭特設ステージや。
コメントをもらったT君は、同級生の中でもそのセンスの高さで有名なヴォーカリストだった。高音域までも凌駕する澄んだ声は羨ましいかった。昨日、彼のコメントでその事実を知ったのだが、T君が文化祭で達郎さんの曲を弾き語ったのだった。私も一人では達郎さんの弾くこともある。しかし、私の周りで達郎さんの曲を人に聴かせた者はT君だけ。聴かせられる歌唱力と度胸があったのがT君だけと言うべきだろう!いやあ、聴いてみたかった。
今夜は、30年前、文化祭でT君が弾き語った達郎さんの名曲を。「あまく危険な香り」。

サスペンションやステアリング系などの下回りの増し締め、もちろんそれはとても重要なことなのだけれど、しかし、現実的には現代のクルマの多くは増し締めをする必要がほとんどなくなっている。現代といっても、私が自動車業界に入り、国産車の整備に携わるようになった1990年ごろには既に、増し締めの必要に迫られたクルマにお目にかかることはなかった。
例えば、車検整備をしたとしても、自らが整備をした箇所をその確認の目的で締まり具合いの確認をすることはあっても、新車時から誰にも触られたことがないボルトがまさか緩んでいるなんて考えたこともなかった。自動車検査員は車検整備完了後に点検ハンマーを使って各部をチェックするのだが、それでさえも緩んでいることなどあり得ない上での、一種のパフォーマンスにも見える作業だった。

1995年にランドローバーに出合ったとき、それまでの常識が完全に覆った。増し締めが必要なクルマが日本に存在するのだと!高速走行時にふらつくというお客さまからの申し出があり、下回りをチェックした。一見なにも異常はない。ダメ元でボルトにレンチを当ててみると、あれ?締まる・・・。あれあれ?ここも、あそこも。
そんな具合いでフロントからリヤまであらゆるボルト・ナットを締め込んでいった。まあ、締まる締まる!そして試運転。まったく別モノのクルマになった。
それ以来、新車であろうと点検や車検で入庫したクルマであろうと、片っ端から締めていった。車検から帰ってきたら調子が良くてビックリされるお客さまもいたほど。あまりに走りが違うものだからショックアブソーバーの交換でもしたのではないかと思って請求明細を見るのだが足周りに関するパーツは使われていない。それでも、もしかしたら何か請求するのを忘れているのではないかと、そんなふうに心配して電話をしてくれた方もいた。

ランドローバー今回、レイブリックへ初めて入庫していただいて点検整備を行っているディフェンダーは、過去にいくつものサービス工場をすり抜けてきてしまったクルマ。車検や点検整備、中古車として販売されてきたときの納車前整備、それらを全て潜り抜けてきて、下回りのあらゆるネジが緩いまま今回に至っている。きっと、20年近く前の私のように、「ネジが緩んでいるはずがない」と信じきっているメカニックだけに触れられてきたのだろう。
今回の点検整備で、ここもあそこもしっかり締まりまった!これが本来のディフェンダーの走行性能だと、きっと実感していただけるだろう。

中古車である以上、コンディションはそれまでの使われ方や整備の具合いによって様々。例えば6年経過したクルマの場合、そのクルマは6年の間に2回の車検と3回の12ヶ月法定点検の時期を過ごしてきたはず。乗り方やオイル交換など簡単なメンテナンス以外に、その5回の法定点検時にどれだけ慎重なメンテナンスが行なわれてきたかによっても、現在のコンディションには大きな差となって現れてくる。直近の車検でギリギリ検査に通るレベルの整備で済ませたのか、あるいは次の車検まで安心して過ごせるよう念入りに整備を行なったか?などなど。

今、オートクラフトで納車前の整備を行なっている3rdレンジローバーはまさに後者のほう。2006年モデルで走行は7万キロ弱。過去の点検記録を見る限り羨ましくなるほどの内容だ。
そして、今回の車両のような場合には当然だが納車整備だからといって必要な整備はとても少なくすむ。

rangerover


交換部品は以下のとおり。
部品点数が少ないことが過去の整備状態が充実していた証拠でもある。

《消耗品関係》
・スパークプラグ(8本)
・フロントワイパーブレード(2本)
・リヤワイパーブレード
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・オイルパンドレンプラグ
・ATF
・ATオイルパン
・ATレベルプラグ
・デファレンシャルオイル
・ポーレンフィルター
・クーラント

《オイル滲み対策》
・ATオイルパンスリーブ

《その他不具合箇所の交換部品》
・サングラスケース


とてつもなく手が掛かりそうなクルマははじめから商品の候補に選ばない。そんなふうに厳選して仕入れてきたランドローバーでもやはりコンディションは様々。そして、現在がどんなコンディションのクルマであろうと、販売車両全てを一定水準以上のクォリティーに持ち上げることが我々の目指しているサービスである。
納車前にどれだけの作業を行なったか?どれだけの部品を交換したか?ではなく、どのレベルにまで持ち上げられたか!という基準を我々は大切にしている。

一台のクルマを家族で共有する場合にはシートやミラーのポジションを頻繁に調整しなおす必要がある。そんな場合には電動ドアミラーが大変便利である。とくに手が届かない左側は。
いつの時代も電動ドアミラーは比較的よく壊れる・・・。上下左右の調整が利かない、電動格納しないなどなど。それらはモーターで動いているわけだから、どのモーターにだって同様に壊れる可能性はある。

レンジローバー家族や会社内でだれかと共有しているわけではなく、自分ひとりだけでクルマを使用する場合には、もしドアミラーの調整機能が壊れてしまってもそれに気がつかないこともある。そのまま何年も気づかずにいて、例えば友人が運転する際に気づいたとしてもそのときだけ手で調整すれば済んでしまう。結局修理をせずにまたそのまま使い続けたところで何も不自由さは感じない。
おそらくそんな経緯もあるからだろうが、中古車として入庫してくるレンジローバーには意外にドアミラーが壊れているケースが多い。ただ、商品としてはそのままやり過ごすことはできないので我々はこうして頻繁にドアミラーの修理を行うことになる。


私は1992年から輸入車の整備に従事するようになった。そこには日本車とはちがう合理的なスタンダードがあった。助手席側だけ電動ドアミラー、フロント側だけパワーウィンド、そんなクルマの存在に驚いたものだ。でも確かにそれでよいと思った。
個人的には、電動ドアミラーも電動チルトステアリングも電動サンルーフもオートエアコンもない、シンプルな3rdレンジローバーがあっても良いと思う。レザーシートとかウッドインテリアトリムだけは英国車らしく豪華に演出してほしいが、長く乗るなら、電動パーツは出来るだけ少ないほうが嬉しい。ディスカバリー・シリーズ1も電動サンルーフはよく壊れたが、ハンドルでクルクル回す手動タイプは丈夫だった。せっかくの豪華装備にも関わらず、出来るだけ動かさないように過ごさなければならないなんて本末転倒!

まあ、そんな都合のよいことを考えてみたところでどうしようもないことだが・・・。笑

2002年にデビューした3rdレンジローバーは、2012年モデルを最後にフルモデルチェンジが発表された。2002年から2012年、実に足掛け11年のロングセラーモデルとなったわけだ。
ランプ類やバンパーの形状、エンジンの変更など、大小いくつかのマイナーチェンジを繰り返してきたわけだが、それでも全てが「第三世代のレンジローバー」という大きな一括りのなかに入る。
その初期タイプは2002年から2004年モデルといえる。この3年間のモデルに関しては、2004年モデルでパークディスタンスセンサーが標準装備されたこと以外はほとんど仕様に区別がつかない。また、例えば信頼性の上でも何年モデルだから良いとか悪いとか、とくにそんなこともないように感じる。
2005年になるとナビゲーションがタッチパネルになる。ただ、エンジンや駆動系に変更はなく、相変わらず外観上や内装関係の意匠は変わらずにきた
今、我々周辺ではこのあたりのモデルが非常に人気だ。

いずれも製造から10年前後が経過しており、走行距離も10万キロ前後あるいはそれ以上もものがほとんど。ただ、「10万キロ」という概念は距離の単位が「km」の国の出来事。英国をはじめ、世界の多くは「mile」であり、10万キロが決して驚くべき距離でないだろうことは以前にも記事で取り上げたことがある

中古車を検討され、ご来店していただいたお客さまから、「え?この高級感で300万円切ってるの?」と驚かれることも多い。10万キロ走っていても特にレザーやウッドなど内装の傷みなどは少ない車両が多く、その高級感から放たれるオーラを実感された方のコメントである。
そんなレンジローバーだが、この先もうしばらく安心して乗るには、我々の立場としては「乗っていただくには」、やはりメンテナンスが重要になってくる。

レンジローバーオートクラフトでは、今月に入って新たにレンジローバー(2004年モデル)のご契約いただいた。現在、納車に向けて整備を進めているわけだが、今日はその内容の一部を紹介しよう。
3rdレンジローバーのウィークポイントは?と聞かれれば、必ず「ラジエターホースなどの水廻り」であると答える。このレンジローバーも例外ではなく、点検したところ不安に思う箇所が多かった。なので結局そのあたりは総取替えになった。

その他、点検の結果、調整や修理で済んだものは省略し、単に交換したパーツを挙げてみた。
以下のとおり。


《消耗品関係》
・ファンベルト
・エアコンベルト
・スパークプラグ(8本)
・フロントワイパーブレード(2本)
・リヤワイパーブレード
・ヘッドライトワイパー(2本)
・エアーエレメント
・エンジンオイル
・オイルフィルター
・ATF
・ATドレンプラグ
・デファレンシャルオイル
・ポーレンフィルター
・クーラント
・ブレーキフルード
・バッテリー
・発炎筒

《エンジン水廻り対策》
・ウォーターポンプ
・ラジエターASSY
・ラジエターアッパーホース
・ラジエターロワホース
・ヒーターホース(5本)
・その他ウォーターホース(6本)
・サーモスタット
・ATサーモスタット
・ATサーモスタットパッキン
・水温センサー
・クーラントギャラリーシールプレート
・クーラントギャラリーシールプレートカバー
・インテークマニュホールドガスケット(4個)

《エンジンオイル滲み対策》
・タペットカバーガスケット(2個)
・グロメット(24個)
・VCCソレノイドパッキン(2個)

《その他不具合箇所の交換部品》
・オイルフィルターマウントラバー(2個)
・右ドアミラー
・サンルーフモーター
・フロントワイパーアーム
・助手席側カップホルダー
・パーキングセンサー

商品として中古車を仕上げる段階では、そのクルマに車検が残っていようがそうでなからろうが、我々は全てのランドローバーに対して最低限の基準として24ヶ月定期点検(車検)項目の内容の点検と整備を行なう。
今日はそのほんの一部を紹介しよう。

IMG_3919整備を行なっているのはディフェンダー90/50th。1998年に発売されたV8ガソリンモデル。伝統的なラダーフレームであり、今日紹介する内容はクラシック・レンジローバーにも共通する部分だし、2ndレンジローバーやディスカバリー・シリーズ2とも大部分が重なるので参考にしていただけると思う。

IMG_3923別のクルマのものだが、これが24ヶ月定期点検記録簿。今日紹介するのは、この中の「足廻り点検>サスペンション>取付部、連結部緩み、がた、損傷」と、「下廻り点検>ステアリングのロッド、アーム類>緩み、がた、損傷・ボールジョイントのダストブーツの亀裂、損傷」。
56項目からなる点検項目の、今日紹介できるのはほんの2項目だけである。

IMG_3880IMG_3875
では、まず「足廻り点検>サスペンション>取付部、連結部緩み、がた、損傷」から。
交換したのは、ショックアブソーバーとスタビライザーリンクのブッシュ。これは取り外したショックアブソーバーのロワ・ブッシュ。交換に至った判断は見ていただければ一目瞭然である。右側は新品交換後。

IMG_3881IMG_3886
IMG_3894こちらがスタブライザーリンクのブッシュ。BEFORE(左上)、AFTER(右上)、そして取り外した古いブッシュ(左)。
人間の体に例えると、ひざ間接のようにとても重要な部分である。自然治癒力があるはずもなく、コンドロイチンやグルコサミンが効くわけでもない。このように交換するしかない。しかし、簡単に交換できることがむしろ羨ましい。私の左ひざはここのところずっと痛い・・・。

IMG_3858IMG_3921
次に、「下廻り点検>ステアリングのロッド、アーム類>緩み、がた、損傷・ボールジョイントのダストブーツの亀裂、損傷」。左が交換後の様子。右は取り外したボールジョイント。ブーツが破れているだけでなく、おそらくそこから水が泥が浸入して、既にボールジョイントの動きが悪くなっていた。更に悪化すればボールジョイントの破損につながりかねない。

こんなふうに各点検項目を塗りつぶしていくわけだ。クルマの下を覗き込めば見える部分ではあるが、一般的にユーザーさんにとっては「見える部分」ではないかもしれない。エンジンルームもしかり。つまり、そのあたりが我々整備士の任務なのである。

今朝、オートクラフトに出社し朝礼を終えると、瀬川メカニックが「相談です!」と歩み寄ってきた。まだ自分では詳しく診断するに至っていないとのことだが、納車前整備中のクラシック・レンジローバーの走行フィーリングに違和感を感じるのだと。昨日は試運転をして違和感の現状を確認し、今朝から診断に取り掛かろうと思っていたところ、私の姿を見るや何かヒントを得られないかと相談をしてきた次第。
加減速、つまりアクセルをON−OFFした瞬間に車体が僅かに左右に振られるようだと。具体的にはアクセルONで右に、そしてOFFで左に振られる。
こういう感覚的なことは私が好きな分野だ。決して得意ではないが…。とにかく、まずは私自身で試運転を行なった。40〜50km/hぐらいの一般的な速度域でもその現象は僅かだが確認ができた。ハンドルが取られるわけではないので、私はリヤの足回りが怪しいと思い、その動きを注意深く観察しながら試運転を進めた。
IMG_3787リヤの足回り(サスペンション)の構造は至ってシンプル。そのような現象になる原因はそれほど多くは考えられない。最も可能性が高いのは、リヤ・ラジアスアームのマウントブッシュの劣化だろうと思い、一度サービス工場に戻った。リヤ・アクスルの前後の動きを見ようと、運転を瀬川に代わってもらい、私はクルマの横からリヤの下回りを覗き込んだ、運転している瀬川には、微速前進→ブレーキ、微速後退→ブレーキを繰り返してもらった。案の定、マウント・ブッシュがイカれているのかリヤ・ラジアスアームが前後に大きく動いているのが確認できた。リフトで上げて点検したところ、特に左側のブッシュが大きくヒビ割れていた。

車体が左右に振られる動きとも辻褄が合う。加速時に左側のラジアスアームが伸びれば、リヤリジッドアクスルは左を向く。つまり車体は右に振られる。減速時はその逆。左ラジアスアームが縮む分アクスルが右を向き、車体は左に曲がろうとする。フォークリフトのようにリヤでステアリングが切られている感覚なのである。

IMG_3812IMG_3818
そして交換。左側写真が新旧のブッシュ。右がパックリ割れてしまったモノ、左は新品。右側のラジアスアームと共に左右のマウントブッシュを交換し、再び試運転。
アクセルのON−OFFでの違和感はなくなり、安定した本来の走行フィーリングが得られた。

こんなふうにひとつでも多くの不具合や違和感を察知し、また発見し、それを対処することでクォリティーの高いランドローバーが完成する。スタッフ全員、五感を研ぎ澄まして目の前のクルマに集中だ!

私が仕事として自動車整備に携わるようになったのは1990年のこと。トヨタディーラーでメカニックに就き、最初は整備の基礎となる車検整備を担当するところから始めた。
私が勤めていた販売店では、朝礼が終わるとサービススタッフが手分けをして引き取りに出かけるところから一日が始まった。主に車検で入庫する車両を引き取りに行くのだが、フロントマンが運転をし、メカニック数人を乗せてお客さまのお宅や勤務先を訪れる。お客さまの家に着き、フロントマンが整備内容の打ち合わせをしている間にメカニックは車両のチェックをするようにしていた。見るポイントは、フロントガラスやランプレンズ類に割れや皹がないか、ホイールの隙間から覗くことができるならブレーキパッドの残量、そしてマフラーに穴が開いていないか。それらは、車検の中でもまとまった費用が掛かる代表的なパーツ。それらが良い状態であることがわかれば、おそらく作業は順調に進み、ビックリするほどの見積もりになる可能性が少ないことをその場でお客さまにお伝えできる。逆にそれらが悪いようなら、それに見合った費用が必要になることをあらかじめお客さまにお伝えしておくことができ、見積もりから部品調達、そして作業への流れがとてもスムーズになる。

レンジローバー_マフラー今日、マフラーに開いた大きな穴を見てそんなことを思い出した。レイブリックを始めた1996年ごろには、交換を迫られるほど腐食したマフラーのレンジローバーやディスカバリーが既に出始めていた。新車から3年目、5年目の車検で既に十数万円するマフラーの交換が必要になっていたのだが、当時としては輸入車国産車問わず、マフラーが腐ることはそれほど珍しいことではなかった。
その頃、社外メーカーからステンレスマフラーが発売されており、純正パーツ代+数万円の費用で錆びる心配のないステンレスマフラーが購入できたので、レイブリックとしてもその方法を多くの方に勧めてきた。
いつからだったか、純正供給パーツもステンレス製になり、その後交換したものはこんなふうに酷く腐食することはなくなった。(社外マフラーのようにピカピカ仕上げではないが・・・)
最近ではマフラー交換そのものが珍しい作業になりつつある。

レンジローバー_ステンレスマフラー今日、紹介している車両はオートクラフトで整備中の商品車、1993年モデルのクラシック・レンジローバー。そして、これは神田店長が決めたのかな?純正マフラーではなく、LEADER製ステンレスマフラーを使用して交換した。
こんなふうに、現代のクォリティーのパーツを使って組み上げられるクラシック・レンジローバーは、その方法次第では当時の新車の性能を凌駕できるクルマに仕上がる可能性があるわけだ。

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